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「御台本」にて、声劇用シナリオ掲載しています。もしよかったら、ご利用ください。#御台本
— koegeki.com (@koegekicom) 2023年3月26日
御台本 Written by odahttps://oda.koegeki.com
【登場人物】 | 【●性別】 | 【登場人物の概要】 |
---|---|---|
哲平 | ●男性 | 能城哲平(のしろてっぺい)。男性 大学2年生。モテないことに悩んでいる。 |
真琴 | ●女性 | 後藤真琴(ごとうまこと)。大学4年生。恋多き女性。 |
【真琴の家。マンションの一室にて】
真琴は台所と床に座る高さのテーブルを往復している。
●哲平:ん! あ! やば!
●哲平:今日朝から哲学あったのに、
●真琴:(台所から呼びかけて)
●真琴:あ、起きたー?
●真琴:おはよ、哲平。
●哲平:あれ?哲学の講義、あれ?
●真琴:今日、お休みでしょ。
●哲平:あ、あ、そうか、
●真琴:(呟く)お味噌汁あっためとくかな。
●哲平:昨日みんなで呑んでたんだった。
●真琴:うん。
●哲平:んあ!みんなは?みんなは?
●真琴:もう帰ったよ。
●哲平:え?まだ3時?
●真琴:午後3時ね。
●哲平:しまった……。ボクとしたことが……。
●真琴:いいんじゃない?
●真琴:今日、用事無いんでしょ?
●哲平:無いです。
●哲平:だけどですよ?
●哲平:送別会だっていうのに。
●真琴:大丈夫よ、卒業式はまだ来月だし。
●哲平:まぁ、そうですね。
●真琴:(近づいてきて、また台所へ戻る)
●真琴:はい、お水。
●哲平:あ、ありがとうございます。
●真琴:山岡くんは、始発で帰ったし、
●真琴:茜ちゃんと信也は9時頃だったかな。
●真琴:今日もバイトあるらしくて帰ったし。
●哲平:真琴先輩は?
●真琴:ここアタシん家。
●哲平:あ、そうでした。
●真琴:大丈夫。今日、のんびりできる日だから。
●哲平:なんか、すみません。
●真琴:そんな深刻な顔しなくても。
●真琴:正座なんかしてないで、
●真琴:足崩してなよ。
●哲平:へい。
●真琴:冷蔵庫にまだあったかなぁ。
●哲平:いや、先輩?
●真琴:お酒でも飲む?
●哲平:いや、今起きたばっかりですよ、ボク。
●真琴:昼間っから飲むのもいいよ?
●哲平:確かに……。
●真琴:ウィスキーもまだちょっと残ってるし、
●真琴:缶チューハイもたしか、まだ冷えてるし、
●哲平:そんなにボクを酔わせてどうする気ですか?
●真琴:哲平の寝顔見てよっかな?
●哲平:いやぁ、もう……
●哲平:真琴先輩も山岡先輩も、
●哲平:なんでそんなにチャラいんですか。
●真琴:ホントにお酒飲む?
●哲平:いや……
●真琴:よし、お味噌汁あったまったよ。
●哲平:バイトは明日の夕方からだけど…、
●哲平:どうしようかな……。
●真琴:(近づいて)
●真琴:はい、お味噌汁どうぞ。
●哲平:あ、ありがとうございます。
●哲平:冷蔵庫にお水あります?
●真琴:あるよ。
●哲平:あ、取りに行っていいですか?
●真琴:いいよ、座ってて。
●哲平:いただきます。
●哲平:んあー、おいしい。
●真琴:やっぱり、お酒飲もうかなぁ。
●哲平:真琴先輩が飲むならつきあいます。
●真琴:じゃあ、缶チューハイつきあって。
●哲平:はい。
●真琴:どうぞ、レモンしかないけど。
●哲平:ありがとう。
●真琴:一応、お水も置いとくね。
●哲平:ありがとう。
●哲平:あ、クッションこれ、
●真琴:ありがと。
●真琴:じゃあ、カンパイ。
●哲平:カンパイ。
●真琴:(飲んで)
●真琴:あー、おいしい。
●哲平:あ、あかない。
●真琴:もー、なにやってんの。
●哲平:寝起きで指にチカラはいらなくて。
●真琴:はい。
●哲平:すいません。
●哲平:(飲んで)
●哲平:……ふーー。
●真琴:(飲んで)
●真琴:あー、これおいしい。
●哲平:真琴先輩?
●真琴:なに?
●哲平:どうやったら、ボクもチャラくなれますかね?
●真琴:え?なに?
●哲平:えっとですね、その、
●真琴:まずは、すぐ正座するのやめようか。
●哲平:あ、はい。
●真琴:どしたの急に?
●哲平:あの、なんというか、
●真琴:うん?
●哲平:先輩お二人の姿を見ていて、
●哲平:常々、その、会話の節々に
●真琴:あー、山岡くんとアタシ?
●哲平:はい。
●真琴:あー、チャラい?
●哲平:ええ。というか、なんというか、
●哲平:その、遊び心が多彩というか、
●哲平:余裕があるというか。
●真琴:そうなんだ?
●哲平:あ、いや、気分を害されたら、すみません。
●真琴:いや、ぜんぜん、害さないけど。
●哲平:なんだか、うらやましくてですね。
●真琴:その、眼鏡クイっもやめようか?
●哲平:あ、すいません。
●真琴:謝りながらすぐやるし。
●哲平:あ、えっと、あの、
●真琴:どしたの?急に?
●真琴:なんかあった?
●哲平:いやぁ、ボクも、その、
●真琴:正座しない。
●哲平:あ、すいません。
●哲平:ボクも、その、
●哲平:2年生が終わるわけでして。
●真琴:そうですねぇ。
●哲平:その……なんというか。
●真琴:モテたいんだ?
●哲平:んはっ!
●真琴:その声どっからだしてんの?
●哲平:いや、その…。
●真琴:モテたいんでしょ?
●哲平:……はい。
●真琴:チャラいの関係なくない?
●哲平:いや、選択教養の哲学2で、
●真琴:あぁ、佐藤先生の取ったって言ってたね。
●哲平:ええ。
●哲平:それで、ボク、感銘を受けまして。
●真琴:感銘?
●哲平:『人と人との関係性において、
●哲平: 一言一句、およびその行動は、
●哲平: すべて、哲学なのである』と。
●真琴:佐藤先生それしか言わなくない?
●哲平:いえ、それがすべてなんです。
●真琴:はぁ。
●真琴:今年も試験に出たの?
●哲平:はい。1問目が、穴埋めの、
●哲平:『人と人との関係性において、
●哲平: 一言一句、およびその行動は、
●哲平: すべて、哲学なのである』
●哲平:を書かされて、
●真琴:うん。
●哲平:2問目は、自由記述で。
●真琴:あ、一緒だ。
●哲平:ボクは思ったんですよ、
●真琴:うん?
●哲平:チャラさも、哲学なのではないか?と。
●真琴:はぁ。
●哲平:チャラさも、哲学なのではないか?と。
●真琴:かんぱーい。
●哲平:乾杯。
●真琴:もう酔った?
●哲平:まだ、大丈夫です。
●真琴:哲学ねぇ…。
●哲平:これは仮説なのですが、
●真琴:あ、はい。
●哲平:関係性を構築しているからこそ、
●哲平:言い合える言葉が、その、
●哲平:チャラさを醸し出している。
●哲平:つまり、チャラさを感じるというのは、
●哲平:関係性であるというのがひとつ。
●真琴:うん。
●哲平:もうひとつは、
●哲平:チャラさは個の気質に含まれる、
●哲平:個体差としての、チャラさであり、
●哲平:個人が持つ素養である。
●哲平:という仮説です。
●真琴:ふーん。
●哲平:良い反応ですよ、真琴先輩。
●真琴:え?
●哲平:その「ふーん」がですね、
●哲平:相手がボクだから出せる、
●哲平:空気感としての、
●哲平:半分程度は聞き流している
●哲平:という軽やかさなのか?
●真琴:あ、ばれた?
●哲平:はい、ばれてます。
●哲平:続けます。
●真琴:ごめん。
●哲平:もしくは、
●哲平:真琴先輩であるから、
●哲平:相手がいかような相手であっても、
●哲平:このような話題である場合には、
●哲平:さっきの、「ふーん」を
●哲平:軽やかに繰り出すことができるという、
●哲平:個性だと言えるものなのか?
●哲平:どっちでしょうか?
●真琴:えー。
●哲平:えーではなくてですね。
●真琴:わかんないもん。
●真琴:そんなこと考えたことない。
●哲平:では、今、考えてみてください。
●真琴:ん~、
●真琴:佐藤先生的にはさ、
●真琴:『それこそが関係性である』
●真琴:ってことでしょ?
●哲平:そうなんです。
●真琴:えー、でもさー、
●真琴:いつもチャラいわけじゃないじゃん?
●哲平:なるほど。
●真琴:チャラい時だけチャラいじゃん?
●哲平:それは、テクニックとしての
●哲平:後天的なチャラさなのでしょうか?
●哲平:それとも、先天的なものなのでしょうか?
●真琴:ん~
●真琴:まぁ、ある意味で、
●真琴:才能みたいなものかもしれないけどさ?
●哲平:…才能。
●真琴:でも、そうね、
●真琴:語彙力とか、対応力としての、
●真琴:「チャラさ」であれば、後天的な要素よね?
●哲平:なるほど。
●哲平:ボクにもその、「チャラさ」を
●哲平:身に着けることが、その、
●哲平:可能になるということでしょうか?
●真琴:どんなことでもさ?
●真琴:ピアノの練習をすれば、
●真琴:それなりに音は出るようになるかもしれない
●真琴:けど、S席八千円で売れるとは?
●哲平:限りませんねぇ。
●哲平:うーん。
●真琴:あ、じゃあさ?
●哲平:はい。
●真琴:チャラい言葉で言ってみてよ?
●哲平:え?
●真琴:哲平が思う、チャラさで。
●哲平:いや、それがすぐできたら、
●哲平:困ってませんよ。
●真琴:じゃあ、そのお味噌汁ほめて?
●哲平:……とてもおいしいです。
●真琴:それは、哲平じゃん?
●哲平:……んー
●真琴:もっと流れるように
●哲平:このお味噌汁は、絹ごし豆腐が優しく、
●哲平:わかめとお揚げさんがあいまみえることで
●哲平:見た目でも、舌でも頼もしく、
●哲平:それを支える出汁のうまみと、
●哲平:麦味噌の甘さとえんみが、
●哲平:くちの中でほどけるように、
●哲平:まろやかに香ります。
●真琴:真面目か。
●哲平:いかがでしょうか?
●真琴:哲平が哲平でしかないのよ。
●哲平:山岡先輩ならなんと言うんでしょうか?
●真琴:(ひとくちのんで4年生の山岡を真似る)
●真琴:「あー、ずりぃな、
●真琴: これだよな、これ。」
●哲平:んはーーーー。
●真琴:どう?
●哲平:言います。
●哲平:言ってなくても言いそうです。
●哲平:ちなみに、信也くんは?
●真琴:信也?
●真琴:なんて言ってたかなぁ。
●真琴:ん~とねぇ、
●真琴:(ひとくちのんで1年生の信也を真似る)
●真琴:「胃にしみる~。
●真琴: やっぱりおいしい、
●真琴: 真琴先輩のお味噌汁、
●真琴: すっごい好き。」
●真琴:とかそんな感じだったと思う。
●哲平:チャラい!
●真琴:そう?
●哲平:信也もなかなかの曲者にござる。
●真琴:そうかな?
●哲平:いや、なかなかのチャラ哲学を
●哲平:構築されておりますな。
●真琴:チャラ哲学って……。
●哲平:……(大きくため息)
●真琴:そんなため息つかなくても。
●哲平:なんていうんですか?
●哲平:弱小校のギリギリ人数がそろった野球部が、
●哲平:1回戦に全国優勝候補の学校に当たって、
●哲平:初球に先頭打者ホームランくらったような
●哲平:そんな気分です。
●真琴:よくわかんないけど、
●真琴:でもさー。
●哲平:なんですか?
●真琴:男の子の良さってさ、
●真琴:いろんな良さがあるから
●真琴:良いんだと思うんだよね?
●哲平:といいますと?
●真琴:正座しなくていいから。
●哲平:いえ、ここは。
●真琴:山岡くんには山岡くんの良さがあって。
●真琴:信也には信也の良さがあって。
●真琴:たぶん、哲平にも、哲平の良さが…
●哲平:……。
●真琴:無いかもしれないし、
●哲平:え?
●真琴:有るかもしれない。
●哲平:…はい。
●真琴:チャラいからって言って、
●真琴:みんながみんな、好きなわけじゃないじゃない?
●真琴:チャラくないほうが、
●真琴:好きな人のほうがきっと多いし。
●真琴:チャラい順に彼女できていく?
●哲平:んー、それは、ややその傾向があるように思いますが。
●真琴:それはうがって見すぎ。
●哲平:そうですか?
●真琴:哲平には、哲平の良さを、
●真琴:ちゃんと認めて、
●真琴:哲平だから付き合いたいって思ってくれる
●真琴:そういう人がきっといるはずよ。
●哲平:……真琴先輩。
●真琴:アタシは、いまの、
●真琴:ありのままの哲平が好きだけどね。
●哲平:……(ため息)
●真琴:哲平?ため息なんてついてないでさー、
●真琴:そこは、それこそ、
●真琴:「まぁ、当然ですよ、
●真琴: ボクが哲平ですから」
●真琴:くらい言わないと。
●哲平:はぁー、心折れますわ。
●真琴:なにが?
●哲平:自覚無き真琴先輩のチャラさが、
●哲平:最高に炸裂したんですよ。
●真琴:そう?
●哲平:爆裂ですよ、爆裂。
●真琴:爆裂?。
●哲平:そうですよ。
●真琴:どこが?
●哲平:「アタシは、いまの、
●哲平: ありのままの哲平が好きだけどね」
●哲平:とか言われたらね?
●真琴:うん?
●哲平:ボクが何も知らない、そう、
●哲平:中学2年生の男子だったら、
●真琴:中学2年生の男子だったら?
●哲平:存分に勘違いしてしまいますね!
●真琴:勘違いって?
●哲平:くはーーーー。
●哲平:わかっててやってるでしょ?
●真琴:わかんない。
●真琴:哲平ぃ?勘違いってなに?
●哲平:やってられっかぁ
●哲平:(缶チューハイを飲む)
●真琴:だ、ダメだって一気に呑んだら!
●哲平:大丈夫です、ボクは、
●哲平:そんなグビグビいけませんから。
●真琴:どのくらい飲んだの?
●哲平:はい。
●真琴:ぜんぜん減ってないじゃん。
●哲平:まぁ、当然ですよ、ご安心ください
●哲平:ボクが哲平ですから。
●真琴:顔、赤っ。
●真琴:ほっぺ触っていい?
●哲平:……
●真琴:ふふふふ、りんごみたーい。
●哲平:……、
●哲平:これか……
●真琴:これかって?
●哲平:これが、チャラさか……。
●真琴:やめてよー。チャラくないって別に。
●哲平:くはーぁーーーー、
●真琴:だ、大丈夫?
●哲平:ボクには無理だーーーー。
●真琴:そんな、倒れこんでジタバタしなくても
●哲平:ジタバタしますよ。
●哲平:むしろねぇ、ジタバタしてたんですよ。
●真琴:なるほど?
●哲平:ですが、
●真琴:あ、起きた。
●哲平:ボクは、
●哲平:自分に無いものを、
●哲平:求めすぎたんだと悟りました。
●真琴:て、哲平?
●哲平:ボクは2つの仮説に囚われすぎていた。
●哲平:その前提として、チャラさというのは、
●哲平:その人が携える、空気感や、
●哲平:個性としての物言いにあると錯覚していたんです。
●哲平:結論が出ました。
●真琴:結論出たの?
●哲平:はい。
●真琴:哲平が思う、チャラさとは?
●哲平:哲学です。
●真琴:は?
●哲平:チャラさそのものが、
●哲平:その人を形成する哲学なのですよ。
●真琴:あ、眼鏡クイッがでた。
●哲平:ボクが思う、チャラさというのは、
●哲平:その人の、生きる道であり、
●哲平:生きざまなのだと、理解しました。
●真琴:なんか、おおげさじゃない?
●哲平:いえ、目が覚めましたよ。
●真琴:哲平?
●哲平:真琴先輩、ありがとうございます。
●哲平:ボクは、ボクの哲学を、
●哲平:自分の生きる道を、
●哲平:生きようと思います。
●真琴:はい。ぜひ、そうしてください。
●哲平:真琴先輩、乾杯っ!
●真琴:それでさー、
●哲平:(飲んで)
●哲平:ふはーーーー、うまい。
●真琴:哲平、モテたいんじゃないの?
●哲平:んはっ!
●哲平:しまったぁ、そうでした。
●哲平:真琴先輩、
●哲平:どうやったらモテますかね?
●真琴:そのさ、
●真琴:正座して、眼鏡クイッってやるの、
●哲平:やめたほうがいいですか?
●真琴:いや、むしろね?
●真琴:そーゆーのが好きな子探せばいいと思うよ?
●哲平:くはーーー、
●哲平:この世は厳しいっすねぇ!
●真琴:なにが?
●哲平:真琴先輩がそーゆーこと言いますか!
*** おわり ***
※2022.01.18 初稿
物語の構想・着想に、璃月なおさんのご協力を頂きました。
誠にありがとうございます。
※2022.01.18 加筆・修正
加筆修正しました。アーカイブ等への影響はありません。
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— koegeki.com (@koegekicom) 2023年3月26日
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