御台本

御台本 - Written by oda

僕が軽めの誘拐犯になって
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
結香 女性 篠塚結香(しのづか ゆか)
健斗 男性 梨田健斗(なしだ けんと)

あらすじ

軽めの誘拐犯にボクはなる!

僕が軽めの誘拐犯になって


○健斗から電話がかかってくる
健斗:もしもーし、今へいき?
結香:どしたの?
健斗:ねぇ?今日はなにしてるの?
結香:家族とショッピングモールに来てる
健斗:あー、だからザワザワしてんだ
結香:どしたの?
健斗:ゼミのアレ、レポートの課題終わった?
結香:今日帰ったらやる
健斗:俺も行こうかな?
結香:家でゴロゴロしてるんなら、課題やれば?
健斗:えー
結香:健斗はショッピングモールなんかいつでも来れるじゃん
健斗:まぁ、自転車で5分だし
結香:アイスでも差し入れしよっか?
健斗:アイスいいなぁ
結香:51(フィフティーワン)目の前にあるよ?
健斗:あ、思い出したんだけどさ、ミセスドーナッツのチーズケーキコラボ始まってる?
結香:うん。今日からだったっぽい
健斗:だったっぽいってなに?
結香:もう、売り切れ
健斗:まぁ、土曜日だしな
結香:課題のテーマ決まってるんでしょ?
健斗:うん、まぁね
結香:終わらせちゃえば?今終わらせたら、最高の日曜日が待ってる
健斗:そうなんだけどさー
結香:私はもう、終わるめどついてるよ?
健斗:だよなー、よし、やるか
結香:健斗?
健斗:なに?
結香:…健斗に会いたくなった
健斗:おまえさー
結香:あはははは
健斗:バッカじゃねぇの
結香:どう?
健斗:うぜー、まじうぜー。俺、今、やる気になったのに
結香:あはははは
健斗:誘拐すんぞ
結香:なにを?
健斗:結香を
結香:え?なにそれ?おもしろそう
健斗:計画はこうだ
結香:なに?
健斗:今から5分で、結香のいるモールに俺が行く
結香:うん
健斗:結香は、家族に「あ、ちょっと別行動してくる~」って言って、姿を消す
結香:うん
健斗:俺は、結香と合流して、連れ去る
結香:うんうん、それで?
健斗:っていう。遊び
結香:現実的には、今、寝起きの頭でぼさぼさでー、健斗が準備するのに15分かかるでしょー?
健斗:はい
結香:アタシは、まぁ、別行動するけど、京香がついてくるから、
健斗:あ、妹もいるんだ
結香:うん、だから、たぶん、無理。あー、ブイサインチョコビッツ出てる、うわーおいしそう
健斗:なにそれ?
結香:今月のフレーバー
健斗:じゃあさ、それ買おうよ、トリプルにする?
○健斗が真後ろから現れる
結香:え?
健斗:なに味?
結香:ポッピングフラッシュと、ラブパーティ
健斗:すいませーん、ラブパーティと、ポッピングフラッシュとブイサインチョコ、ビッグのほうのトリプル、
健斗:カップで。えっと、スプーン2個つけてください
結香:あ、お母さんと京香に連絡しとこ。お母さんはメッセージっと
結香:京香には通話で連絡しとこ
結香:もしもし?京香?あのね?
結香:お姉ちゃん、ちょっと探し物してくるから、うん、別行動。帰る前に呼んで?
結香:うん、ぜんぜん良い、大丈夫
健斗:買えたよ?
結香:なんでいるの?
健斗:ふはははは、家で寝てると思ったろ?
結香:うん
健斗:フードコートでカツ丼食いながらレポートやってた
結香:カツ丼?
健斗:結香も食べる?
結香:いや、私はまだいらない
健斗:アイスどこで食う?フードコート戻って席探してみる?
結香:ねぇ、健斗?
健斗:ん?
結香:誘拐してよ
健斗:は?
結香:いいじゃん
健斗:親には?
結香:さっきメッセージ送ったらスタンプで返事帰ってきた
健斗:妹は?
結香:電話した
健斗:ん~、じゃあさ
結香:なに?
健斗:よし、ゲーム開始
結香:え?
健斗:手、つないで
結香:え?
健斗:俺は、今、犯罪者だから?
結香:あ、うん
健斗:俺の言う通りにしろ。的なヤツ
結香:あ、うん
健斗:アイス持ってて
結香:うん
健斗:でも、すぐ戻ってこれるほうがいいよな、一応
結香:うん、けど…
健斗:エスカレーターで降りるぞ、見つかったらゲームオーバー
結香:手つないでたら気まずいんだけど
健斗:俺の言うことをきけ
結香:え、あ、はい
健斗:いいか、俺に逆らったら命は無いと思え
結香:だっさ
健斗:え、でもそういうアレのほうが面白くね?
結香:こ、声を出すわよ
健斗:うるせぇ、口封じだ、はい、あーんして、ブイサインチョコなんとか
結香:あ(食べさせらえる)うん
健斗:どう?俺もひとくち食べよう
結香:おいしいこれ
健斗:あ、うめぇじゃん、2階も、危険だな。メンズが集中してるから、親父さんに見つかるとマジで怖い
結香:あ、うん
健斗:1階にそのまま降りよう
結香:(演技っぽく)でも、アタシ…
健斗:俺の言うことがきけねぇのか?
結香:(演技っぽく)そ、そんな…や、やめてください
健斗:うぜぇ、口封じしてやる、はい、あーん
結香:あーん
健斗:アイス食いてぇだけじゃんか、足元気を付けて、1階つく
結香:うん。大丈夫。おいしいでしょ?
健斗:うん。アイスがとけないところか、ゆっくり食べられるところがいいな
結香:エレベーターホールの前のベンチとか?
健斗:んー、だめだ、危険すぎる
結香:なんで?
健斗:だって、あんなところにたこ焼き屋あるんだぜ?


(第2話へつづく)


健斗:アイスがとけないところか、ゆっくり食べられるところがいいな
結香:エレベーターホールの前のベンチとか?
健斗:んー、だめだ、危険すぎる。
結香:なんで?
健斗:だって、あんなところにたこ焼き屋あるんだぜ?
結香:あ、美味しそう
健斗:だからだよ
結香:なんで?
健斗:だって、人が多すぎるのと、お前の母さんに出くわしそうじゃん?
結香:なんで、たこ焼き屋とお母さん関係ないでしょ?
健斗:え、好きそうじゃん
結香:なんでよ
健斗:たこやき嫌いって言える?
結香:そ…それは
健斗:ソースにマヨネーズ、アツアツのトロトロ
結香:うーーん
健斗:青のりとかつお節
結香:あーーそれはっ
健斗:目、つぶって
結香:え、なんで?
健斗:いいか、俺は今、結香を誘拐してるんだぞ
結香:あ、はい
健斗:ちゃんと目つむった
結香:うん
健斗:青のり、かつお節、ソースの香りに、マヨネーズ
結香:おなかすくんだけど
健斗:アツアツのトロトロ、くちのなかに入れたら、はい、あーんして
結香:え?うそ、たこ焼き?
健斗:はい、あーん
結香:あーん、ん!つめたっ!!!
健斗:そりゃ、アイスだもん
結香:冷たいし甘いし!
健斗:大声を出すな!
結香:あ、ごめん
健斗:アイス食って、冷たいし甘いし!って文句言ってたら目立つだろ、エレベーターホール響くんだぞ
結香:ご、ごめん、あそこのおじさんと目があった。ちょっと恥ずかしい
健斗:よし、こっちだ
結香:どこいくの?
健斗:非常階段
結香:あー、確かに
健斗:アイス食べたい
結香:すぐとけるかも
健斗:やべ、警備員さんが見回りしてる
結香:あ、ここ、飲食禁止
健斗:よし、決めた、あっち行こう
結香:どこ行くの?
健斗:ゆっくりできるとこ
結香:あ、「ムーン・シカク」のチョコクロワッサン買っていい?
健斗:いいよ
結香:飲み物買っていく?
健斗:あるよ
結香:はい、6つ。2個と、4個に分けてもらっていいですか?はい、はーい。
健斗:ポッピングフラッシュと、ラブパーティもおいしいな、また買ってみよう
結香:買えた~、あー、ひとりで全部食べちゃわないでよね
健斗:大丈夫だって、まだ全然あるって
結香:どこ行くの?
健斗:わかっててそれ買ったくせに
結香:じゃあ、誘拐して?
健斗:自転車あっち。
結香:うん


○健斗の家
結香:嘘みたいに近いじゃん
健斗:ただいまー、アレ、カギかかってる、買い物でも行ったかな
結香:え?入れないとか無いよね?
健斗:持ってるよ、家の鍵くらい
結香:お、おじゃましまーす
健斗:あ、そっか、こっち引っ越してから来るの初めてだっけ?
結香:う、うん
健斗:俺の部屋2階、先上がっといて、
結香:これ、どうしよっか?4つ入ってる、皆さんで食べて?
健斗:ありがと、リビングに置いとく
結香:手洗っていい?
健斗:あ、そっかそっか、こっち、
結香:お借りしまーす
○結香手を洗っている
健斗:(少し遠くで)コップコップこれでいっか、ゆかー?麦茶でいい?
結香:うん、なんでもいい
健斗:先上がってればいいのに
結香:あ、うん、今、手、洗い終わった
健斗:ついてきて、こっち
結香:はーい
健斗:どうぞ?
結香:入っても平気?
健斗:どうぞ?
結香:片付いてるね、意外
健斗:なに?なんか期待した?あ、どうぞ、クッションこれ使って
結香:ありがと
健斗:片付いてないほうがよかった?
結香:いや、片付いてるほうがいいけど
健斗:あー、そっかそっか、男子の部屋といえば、ね
結香:なに?
健斗:麦茶、どうぞ
結香:ありがと
健斗:エロ本とか転がってて、やべぇ、見んなって!みたいな?
結香:そうじゃないけど
健斗:親から連絡来てない?
結香:うん、全然ない
健斗:アイス、まだ平気?
結香:うん、まだいっぱいある
健斗:この味好きだわ
結香:ポッピングフラッシュ?
健斗:うん
結香:うん、おいしーよね、定番だし
健斗:こっちも食べる
結香:はい、スプーン
健斗:えー、あーんしてよ
結香:えー、嫌だ
健斗:なんで?
結香:だって、こっちはなんかやだ
健斗:だからなんで?こっちはいいの?ブイサインチョコなんとか
結香:ブイサインチョコビッツね、はい、あーん、
健斗:あーん、うま。
結香:うん、新フレーバーやっぱ試してよかった
健斗:こっち、これちょうだい
結香:それは、自分で食べて。
健斗:なんで?
結香:だって、名前が
健斗:なんだっけこれ、うまい。
結香:…ラブパーティ
健斗:なに?
結香:…ラブパーティイ!
健斗:…
結香:…
健斗:…
結香:…な、なによ。こっち見ないでよ
健斗:…
結香:…だ、だから
健斗:…結香、
結香:な、なによ…
健斗:俺とラブパーティしない?


(第3話へつづく)


結香:…な、なによ。こっち見ないでよ
健斗:…
結香:…だ、だから
健斗:…結香、
結香:な、なによ…
健斗:俺とラブパーティしない?
結香:(ため息)…グーがいい?パーがいい?
健斗:愛が欲しい☆
結香:ちょっと、テーブルずらすね、
健斗:はい?
結香:(殴りかかる)てりゃ!!!
健斗:あぶないって
結香:うりゃ!
健斗:あぶないって
結香:とりゃ!
健斗:ケリは無しだって
結香:あーーー!うざい!もーー!
健斗:空手やってるからって、あぶないって!
結香:トーリャ!っ!え?!ウソっ!
健斗:どう?隙を突かれて、ベッドに押し倒される気分は?
結香:ちょっと、動けないんだけど
健斗:うん、押さえ込んでるからね?
結香:え?こんなに動けないものなの?
健斗:柔道のほうがブがあるってこと?
結香:服破れるから、うっそ、動けない
健斗:どう?ごめんなさいは?
結香:ヤダ
健斗:ごめんなさいは?
結香:女の子にね、そんなことしちゃダメなんだから!
健斗:先に暴力をふるって来たのは?
結香:すいません、私です。って、顔近いのはヤメロ!
健斗:はい「ごめんなさい、私が悪かったです」は?
結香:ヤダ
健斗:まだ反抗するんだ?
結香:ヤダ。近いって。いや、待って、すごい、動けないんだけど
健斗:感心してんじゃねぇよ
結香:だって、すごい、面白いように動けないんだけど
健斗:はい、
結香:うっ
健斗:「ごめんなさい、私が悪かったです」は?
結香:ヤダ
健斗:おいおい、まだ逆らうのか?キスすんぞ
結香:今はヤダ
健斗:「ごめんなさい、私が悪かったです」は?
結香:ごめんなさい、私が悪かったです
健斗:はーい、ちゃんと言えました~
結香:(せき込む)
健斗:アイスたべよー、とけるよ?
結香:(ため息)マジで、怖えぇ
健斗:はい、麦茶
結香:ありがと。っていうかさ、あんまりよくないよ?
健斗:あ、チョコクロワッサンも食べようぜ?
結香:あんまりよくないよ?
健斗:なにが?
結香:女子連れ込んで、ベッドで寝技決めるとか
健斗:は?
結香:やらないほうがいいよってこと
健斗:やらねぇよ
結香:今やったじゃん
健斗:結香が殴りかかってきたんじゃん
結香:まぁ、そりゃそうだけど
健斗:だって、空手やってるヤツのパンチってさ、
結香:うん
健斗:手加減してても、痛いじゃん
結香:痛いの?
健斗:うん、だって、痛いところに手加減の最後でちょっと足しやがるじゃん
結香:あ、ばれた
健斗:だから、正当防衛だと思うなぁ。今のは
結香:そーですね、そーですね
健斗:っていうか、今はさ、俺、軽めの誘拐犯なわけじゃん?
結香:あ、そーでした。でもさー
健斗:あ、くちごたえするんだな?
結香:します、くちごたえしまーす、っていうかさ、私は女子で、健斗は男子なわけじゃん?
健斗:アイスこっちのやつ、もうすぐなくなりそう、食べる?
結香:うん、大学生にもなればさ、体格だってちがうわけじゃん?
健斗:くちごたえするねぇ
結香:私は空手やってるけど、やってるけどさ?
健斗:それ以上くちごたえするとー
結香:あーん
健斗:ポッピンな
結香:うん。おいしい。くちごたえするとアイスくれる誘拐犯になら、どんどんさらわれたい
健斗:あのさ、ねえちゃんがさ、
結香:うん?
健斗:アイス食べながら、キスするとヤバいって言ってたんだけどホントかな?
結香:なにそれ?
健斗:ポッピンうめぇな
結香:もうひとくちちょうだい
健斗:はい、あーん
結香:ポッピン美味しいね
健斗:うん、ポッピン美味しい、……ン!
○結香が軽くキスをする


(第4話へつづく)


健斗:あのさ、ねえちゃんがさ、
結香:うん?
健斗:アイス食べながら、キスするとヤバいって言ってたんだけどホントかな?
結香:なにそれ?
健斗:ポッピンうめぇな
結香:もうひとくちちょうだい
健斗:はい、あーん
結香:ポッピン美味しいね
健斗:うん、ポッピン美味しい、……ン!
○結香がキスをする
結香:どう?ほっぺにチュ。
健斗:そういうことなん?
結香:そういうことなんじゃないの?
健斗:これさ、俺のほっぺたが、べたべたするからやべぇのかな?
結香:そりゃ、だって、アイス食べてるからねぇ?
健斗:ちょっと、そこの、ウェットティッシュとって
結香:あ、これ?
健斗:うん、緑の、それ
結香:どう?ほっぺにチュは?
健斗:ヤバい。
結香:ヤバいの?
健斗:すごいヤバい
結香:まぁ、うれしい
健斗:すごい健全すぎて、今から、あっちのショッピングモール戻って、お父さんに挨拶できそう
結香:わー健全
健斗:っていうか、連絡ないの?
結香:ん~、妹から、どっちがいい?っていう写真来てるけどさ~
健斗:見せてよ?
結香:どっちもよくなくない?
健斗:え?かわいいじゃん?
結香:これは、かわいいけどさ、妹が着るんだよ?
健斗:何歳?
結香:高1
健斗:いいじゃん、結香の妹かわいいじゃん
結香:あー、悪い人だー、私の妹はあげませんからね!
健斗:ダメなの?
結香:うちの妹に手ぇ出したら、グーの本気のヤツ入れるから
健斗:手ぇだしちゃおうかな?
結香:グーするよ
健斗:いいよ?寝技で返されたいんだろ?結香?
結香:んーーーーーあーーーーーーうぜぇ!!
健斗:ガチで悔しがんなよ
結香:だって、ホントに動けなかったんだもん
健斗:寝技とかないの?
結香:無いよ
健斗:まぁ、そうだよな、腹殴り合って笑ってるもんな、空手部
結香:うん、まぁね、練習だからね
健斗:あれさ、マジで怖いんだけど
結香:(嬉しそうに)時々、ガチでヤバいのはいって、うーーーってなるよ
健斗:嬉しそうに言うなよ、こわいなぁ
結香:やったげようか?
健斗:やんなくていいです
結香:え、イイよ、遠慮しなくて
健斗:さっきたべたアイス全部出てくるから
結香:出してあげるよ
健斗:出てきたやつ全部食わすぞ
結香:えーーヤバっ
健斗:あ!そゆこと?
結香:なにが?
健斗:アイス食べてるときに、キスしたら、ヤバいってのは、リバースするから?
結香:………
健斗:なんだよ、その目は
結香:んなわけないじゃん。
健斗:だって、リバースするのくち移しされたらやばくない?
結香:それはヤバいけどさ、きたねぇなぁもう
健斗:ヤバいけどなんだよ
結香:わかってって言ってるんでしょ?
健斗:え?なにが?
結香:うそでしょ?
健斗:わかってて言ってるって何?
結香:わかってて言ってるんじゃないの?
健斗:いや
結香:これだから、健斗は……
健斗:えー、結香わかってんの?
結香:(ため息)
健斗:えーー、なになに?
結香:誘拐犯がそんなんじゃ、全然ダメじゃん
健斗:あ、そうだった、今日は、誘拐犯だった
結香:ホント、カンがニブいというかなんというか…
健斗:あー、ずるぃ!姉ちゃんも姉ちゃんだし!結香も結香でずるくね?
結香:なんで?
健斗:やべぇって何がやべぇかわかってて言ってたんだろ?
結香:いや、お姉さんが言ってるのは、たぶん、そーゆーことかな?っていうのはあるけどさ?
健斗:マジか…
結香:なに落ち込んでんのよ?
健斗:俺には教えてくれなんだ…だれも…
結香:いや、知らなくていいと思うよ
健斗:姉ちゃんに頼んだほうがいいのかな?
結香:いや、それは、ちょっと…
健斗:え?なに?姉ちゃんに頼んだらよくないの?
結香:きょうだいでそれやるのは、良くないと思う
健斗:姉ちゃんとやったらまずいの?
結香:うん、やってもいいけど、私には言わないでほしいな
健斗:じゃあ、例えば、
結香:うん
健斗:「結香!結香!俺さ!昨日さ、姉ちゃんと!アイス食べながら、キスした!ヤバかった」って言うの
結香:絶対やめて。言うのもやめてほしいし、言わないでほしいし、絶対しないでほしい
健斗:うん、気を付ける
結香:うん、男子にも言わないほうがいいよ
健斗:あ、結香の妹とならいい?(腹を殴られる)うぐっ
結香:あ、ごめん、反射的に、グーがでてしまった
健斗:う……
結香:妹とは絶対させないから
健斗:じゃあさじゃあさ、誰とだったらいいんだよ!俺は!どうしたら何がヤバいのかわかるんだよ!
結香:彼女つくったらいいじゃん
健斗:彼女?
結香:うん
健斗:彼女だったらいいの?
結香:そりゃいいと思うよ。存分にやってどうぞ
健斗:じゃあさ、結香?
結香:なに?
健斗:俺の彼女になってよ?


(第5話へつづく)


健斗:じゃあさ、結香?
結香:なに?
健斗:俺の彼女になってよ?
結香:は?
健斗:俺の彼女になってよ?
結香:は?
健斗:俺のぉ、彼女にぃ、なってよ?
結香:正気?
健斗:え?ダメ?
結香:あのさ、私は、さ?
健斗:うん?
結香:私はさ、こんな、こんな感じじゃん?
健斗:うん。
結香:健斗はさ、大学でも、その、アレだよ?
健斗:なに?
結香:結構、人気あるのよ?女子に?
健斗:いやいやいやいや
結香:いやいやいやいやじゃなくって
健斗:無いって
結香:あるんだって
健斗:あったらもう彼女いるだろだって?
結香:ウワサにはなってるのよ?知らないの?
健斗:ウワサ?
結香:佐々木先輩とか?
健斗:あー。
結香:鈴木先輩とか?
健斗:あー、ザ・恋多き乙女
結香:夢子ちゃんとか
健斗:県大会個人優勝の空手女子ね?
結香:うん、あと剣道部の女子とか、基礎教養取ってる金髪のふわふわの子もなんか、気になるって
健斗:で?
結香:…で?って
健斗:そんなに話題が豊富なのに、狙ってる女子が多いのに?
結香:待って待って
健斗:どーーして、俺には彼女がいないんですかぁ?
結香:落ち着いて、おちついて
健斗:どうして?どうして俺には、彼女がいないんですかぁ?
結香:落ち着いてって
健斗:どうして?俺には?彼女がおらんとですか?
結香:なんで方言?
健斗:どげんかせんといかんばってん、わて、もう、カンニンならんねん、
健斗:ほんまにもう、あとがないんじゃけぇ、
健斗:もし、このまま大学生活終わってしもうたら、どないすんねん?ケツカッチンやぞ!
結香:それは、おつらい現実でいらっしゃる
健斗:だーーーーーかーーーーーらーーーーー
結香:(自分を指さす)ん?
健斗:うん
結香:あははははははははは
健斗:なんで笑うんだよー
結香:(ため息)
結香:笑ってない!
健斗:怒ってんの?
結香:(泣きそうに)もーーーサイテーーーじゃん!
健斗:ゆ、結香?
結香:(ため息)もう、わかんない
健斗:ゆ、結香?
結香:だって、だって、だって、
結香:普通に「彼女が」ほしいんなら、あっちでもこっちでもどっちでも行って、彼女つくればいいじゃん!
結香:手当たり次第に告白したらいいじゃん!
結香:いくらでも相手してくれるよ!
結香:(ため息)はぁ……もう、自分が嫌いになる
健斗:…結香?
結香:自分が嫌いになるって言ってんの!バカみたい
結香:連絡くれるのが嬉しくなってさ、すぐ返事してさ
結香:ショッピングモールで後ろに立ってる健斗にびっくりしてドキドキしてるのばれないようにしてさ
結香:アイスあーんとか、なんか彼女になったみたいとか思ってニヤニヤしてたりしてさ
結香:誘拐ごっことか言い出すから、こいつバカだなぁ~って
結香:バカだけど、しかたないな~とか思ったりしてさ
結香:小学校も、中学も、高校も、大学だって一緒にいられるように、がんばったのに
結香:武道だって、柔道一緒にやりたいけど、なんか露骨すぎるよな、とか思って空手始めただけなのに
結香:空手部入ってみたりして、さ、気づいたら団体で夏の全国大会出場しちゃってるし
結香:準決勝まで進んじゃって、先輩ばっかりのチームで、アタシひとりだけ最終戦白星とか
結香:アタシ、なにやってんだろ?ってなるじゃん?
健斗:そ、そうか?
結香:そうなの!健斗の全国大会に、マネージャーとしてついていくはずだったの!
健斗:マネージャーになってよってお願いしにいったじゃん
結香:だって、
健斗:断ったじゃん
結香:だって……
健斗:だって?
結香:嬉しかったんだもん
健斗:でも、断ったあげく、全国大会先に決めたのそっちじゃん!
結香:だって!健斗がさっさとあきらめるから!もっと、どうしても!って言ってくれたら!
健斗:県予選全試合一本勝ちとか、マネージャーじゃなくてよかったなって思ったもん
結香:そんなの腹いせです!試合のことなんか、よく覚えてないもん
健斗:……マジか
結香:腹いせに殴って蹴ってたら一本になってただけ!全国大会負けたのは残念だけど…
結香:私は!健斗と一緒に喜びたかったの!健斗の一番近くで応援したかったの!
健斗:結香…
結香:私は、ずーーーっと!健斗のことが好きなの!
健斗:…
結香:あ。
健斗:…
結香:あ。ちがう、ちがう、ちがうの、なんでもない、なんでもない、なんでもない
健斗:なんでもなくない、俺も、結香がいい!
○結香のケータイが鳴る
結香:あ、メッセージ来た。え?!うそ!
健斗:なに?
結香:お母さんから、健斗とデート終わったら、一緒に晩御飯、焼き肉食べようって
健斗:え?ばれてた?
結香:これ、見てよ
健斗:親父?母ちゃん?姉ちゃん?なんで一緒にいんの?
○健斗のケータイがなる
健斗:お、親父からメッセージ来た
結香:なんて?あ、
○結香のケータイが鳴る(妹から通話)
結香:(通話相手に)「はい、もしもし?うん、わかってるわかったから」
健斗:これ見ろよ!『結香ちゃんいつ、嫁に来るんだ』ってさ
結香:(通話相手に)「わかった!今すぐ行く!」

*** おわり ***

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