御台本

御台本 - Written by oda

市場の防具売り
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
防具売り 性別不問 雰囲気重視のノリと勢いで演じきってください。

概要

売り口上という日本伝統の節回しを、フィクションの世界観で整えました。
雰囲気重視のノリと勢いで演じきってください。
 

【登場する単語の読み方】
スクトゥーム=ライオット8世(すくとぅーむ・らいおっとはっせい)師匠の名前
盾売り虎盾(たてうりこだて)師匠の二つ名、建て売り戸建てと同じ発音で。
防具の大家(ぼうぐのたいか)家賃をとる人ではないのでオオヤと読まない。
弓嵐(ゆみあらし)海賊の得意な集団攻撃としての降り注ぐ弓として有名な設定。
御旗御旗(おんはたみはた)同じ漢字が続きますが、勢いが出るので、この読み方推奨でどうぞ。

市場の防具売り


:さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、
:寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
:旅のお方も、宿屋のお方も、
:武器売りの方も、
:薬草売りのうるさいあなたも、
:油を売ってるそこのあなたも、
:ちょっと足をとめてみたのなら、
:やべぇと驚くこの防具売りに、
:このウワサ、知らない方は聞いて損なし、
:今日こそ運命、今こそさぁさぁ、お立合い。
:今日ご紹介するこの商品、
:すでにご存知のお方も?
民衆の中から探して見つける(見つけて)
:はぁありがたい、
:お手を上げてくださった
:そこの奥様ありがたい。
:いらっしゃるとは、それもそのはず、
:ワタクシのお師匠、伝説の防具売り、
:盾売り虎盾のスクトゥーム。
:この都より東の砂漠を超えた先、
:さらに北へと海を越え、
:西へと森を走り抜け、
:南へ二つも山を超え、
:たどり着いたは、知るひとぞ知る
:スクトゥーム=ライオット8世
:といえば、その名をとどろかせる、
:偉大なる聖人・偉人
:天下の巨人の守り人。
:世界の盾、
:武具、
:防具を知るに知り尽くした
:防具の大家といえば、このおひと。
:今日のこの、朝イチの朝市、
:モーニングバザールの
:ここでしか手に入らないこの商品、
:スクトゥーム=ライオット8世が
:磨いたこの盾
:救いし命は、
:どどーんと多く、果てしなく。
:勇敢な戦士たちのピンチを救い。
:はたまた、
:弓矢の雨から
:魔導士たちの命を守り、
:さらにさらには、
:一家にひと盾備えれば、
:幼き子どもの
:小さな小さな命を救い、
:あの水平線のその向こう、
:青く輝くリーバルト海の
:大海賊ブーディンボー団といえば、
:かの有名な弓嵐。
:船をも砕く、弓の雨。
:降り注ぐ弓は
:百とも千ともいわれます。
:その攻撃から、
:船員たちの命を救った商船が、
:無事、
:荷物を海の向こうまで届けたという
:奇跡の商船が、
:この盾を使ったとか使わなかったとかいう、
:その盾が、
:今日ご紹介している
:この商品なのでございます。
:スクトゥーム=ライオット8世が
:その経験から導いた、
:最高精度の設計が、
:磨きに磨いたこの輝きが、
:伝説に残るこの盾が、
:さぁさぁ、さぁさぁ、
:見逃すなかれ、
:忘るるなかれ、
:買わずして、
:持たずして、
:旅立つなかれ、
:さぁさぁさぁさぁ、
:あと残すところあとわずか、
:こちらに並んだいく枚か、
:小さい盾から、
:大きい盾まで
:あとわずか、
:大きな盾から、
:小さな盾まで、
:ここに並んだいく枚か。
:並んだものがもう全て、
:早いかたからお手にとられて、
:無くなり次第、
:ハイ終了ときたもんだ。
:おしまいあとのそのあとに、
:『ねぇ旦那、もうあの防具は無いのかい?』
:なんて涙ですがって言われても、
:『おい、てめぇ、俺に売るのは無ぇってか?』
:胸ぐらを掴んで、ゆすられようとも、
:返事のひとつはひとつだけ、
:『無くなる前に、お買いあれ。
: 無くなったら、ハイ、そこまでよ』
:と申すまで。
:どうしてここまで、
:『今日だけだ』
:なんて強く申し上げておりますかと言いますと。
:あちらの国でも、
:こちらの国でも、
:あちらの市でも、
:こちらの市でも、
:見るに耐えない嘘つきや、
:聞くに耐えない大嘘つきが、
:さも正直に、
:さも実直に、
:さもありなんと
:御旗御旗に、
:フラッグ・バナーを、
:あちらこちらに掲げているのが、
:なんともワタシはやり切れ無いのでございます。
:ワタシのお師匠、
:スクトゥーム=ライオット8世が
:図面を引いたこの商品。
:磨きに磨いた究極のこの商品。
:その伝説を持って、
:この名前がついておるのでございます。
:むかーしむかし、
:はるか北方の港に栄えた、
:その都。
:雪に包まれ、
:嵐に凍えるその都。
:ヨイーナ・ノナンソ帝国の
:第十八代帝王、
:ルエゴ=コイムサ国王の
:愛してやまない第一王子、
:ルエタ=コイムサ王子の
:記念すべき初陣の時が来た。
:若き王子は勇ましく、
:その美貌から、
:町娘にもひときわ人気がありました。
:森の奥、
:山深い国境を攻め入られ、
:苦戦苦戦の大苦戦、
:戦況は芳しくありません。
:国王は、つらい本心、
:隠したままで、
:若き王子のその肩に、
:その重責を託したのでありました。
:若き王子も勇敢に、
:父の心に応えます。
:家宝の大剣を右手に担ぎ、
:出征の準備を整えました。
:その時、
:ふらりと都に立ち寄った
:防具売り
:旅の途中でありました。
:『この大剣が私をお守りくださるはずだ』
:王子は笑顔で優しく答えます。
:防具売りは、
:国王、王子に進言します。
:馬車から取り出した、
:一袋の荷物。
:荷物の中から取り出した、
:一枚のこの盾。
:「死にに行くなら止めませぬ、
: 生きて帰るおつもりならば、
: 左手に」
:国王、王子は目と目を合わせて笑います。
:しかし、
:そのとき、
:町のなかから
:一人の少女が飛び出します。
:「王子様、
: どうぞ再びお戻りください」
: ルエタ様がいなくては、
: 未来の希望もありませぬ」
:王子は笑顔で優しく答えます。
:「未来の希望といわれては、
: 持たない理由がないだろう」
:王子は右手に大剣、
:左手にこの盾を持ち、
:出陣したのでございます。
:戦況はさらに厳しく大苦戦。
:激戦乱戦、
:タフなバトルが続きます。
:戦火が明けて、
:ノナンソ帝国大勝利。
:凱旋門が
:彼らの帰還を祝います。
:王子は無事に戻られた。
:右手の大剣、
:ふたつに折れて、
:傷だらけ。
:けれど、
:左手にあるその盾が、
:王子の命を、
:帝国の、
:未来と希望を
:守りきったのでございます。
:王子はひとりの少女を呼び止めた。
:「そなたの言葉で
: 未来の希望が守られた」
:その少女、
:のちの御妃、
:プリンセス・ノナーンとなられる、
:少女なのでありました。
:そんなことから、
:ついた名前が、
:この名前。
:プリンセス・ノナーンの
:お名前から頂いた名前が、
:この商品につけられた。
:直訳すればこの商品、
:『ノナーンの進言』
:この盾に、
:エヌ・エヌ・リッドと名がついた。
:エヌのエムでも、
:エヌのエルでもありません。
:エヌのオーでも、
:エフのイーでもありません。
:エヌ・エヌ・リッドが、
:その真の価値を表す、
:幸運を呼ぶ大切なお名前なのでございます。
: 
:さぁ、さぁ、さぁ、さぁ、
:寄ってらっしゃい見てらっしゃい。
:旅のお方も、
:宿屋のお方も、
:武器売りの方も、
:薬草売りを終えたあなたも、
:ちょっと足をとめていらっしゃい。
:やべぇと驚くこの防具売りに、
:このウワサ、
:知らない方は聞いて損なし、
:今日こそ運命、
:今こそさぁさぁ、お立合い。
:今日ご紹介するこの商品、
:すでにご存知のお方も?
民衆の中から探して見つける(見つけて)
:はぁありがたい、
:お手を上げてくださった
:そこの奥様ありがたい。
:いらっしゃるとは、
:それもそのはず、
:ワタクシのお師匠、
:伝説の防具売り、
:盾売り虎盾のスクトゥーム。
:またの名を、
:台所の守り人、
:鍋のフタ売りとも申します。
:はい、どうも奥様!
:大鍋用の一枚、
:お買い上げありがとうございます!


*** おしまい ***



【おまけ】
ルエゴ=コイムサ国王
ルエタ=コイムサ王子
ノナーン=コイムサ王子
逆読みで雪国感が増します。
読んでくださってありがとうございます。

エヌエヌリッドは「ナベのフタ(lid)」です。
大変お寒うございます。

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