御台本

御台本 - Written by oda

呪文詠唱好きな一般市民と口数少ない魔導士が組んでみた
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
くみこ 女性 一般人らしい?今日は、サンダルにお気に入りのワンピース、木の棒。
ロシェ 男性 魔導師一族の末裔。魔法が得意。童顔。金髪。眼鏡。オッドアイ(右目が青で左目が緑)。魔法学校のエース。

あらすじ

呪文詠唱好きな一般市民と口数少ない魔導士が組んでみた話。ふたりが出逢った日の出来事。

呪文詠唱好きな一般市民と口数少ない魔導士が組んでみた


くみこ:いやーー!
くみこ:待って待って待って
くみこ:ゾンビこないでー!!
くみこ:無理無理無理、
くみこ:無理だって、
くみこ:やだやだやだやだ
くみこ:キモイーーーーー!
ロシェ:こっちだ!
くみこ:え?!
ロシェ:こっちだ!
ロシェ:隠れろ!
くみこ:あなたは?!
ロシェ:しっ、静かに
(去っていくゾンビ)
ロシェ:行ったか。
ロシェ:よし。怪我はない?
くみこ:うん。大丈夫。
ロシェ:あんた、まさか
ロシェ:そんなかっこうでこのダンジョンに来たのか?
ロシェ:サンダルにワンピースって、死にたいのか?
くみこ:地上に戻れば、装備はあるもん。
ロシェ:今は?
くみこ:さっき拾った木の棒!
くみこ:じゃじゃーん!
ロシェ:じゃ、さよなら。
くみこ:待って待って待って!
ロシェ:あんたと居たら、
ロシェ:ライフがいくつあっても足りそうにない。
くみこ:あなたは……誰?
ロシェ:名乗る必要など無い。
くみこ:わかったわ、名乗る必要など無いさん!
ロシェ:いや、あのな、
くみこ:いいのよ。
くみこ:ちょっと変わった名前なんて普通よ。
くみこ:気にしないで、名乗る必要など無いさん。
ロシェ:えっと・・・あのなぁ
くみこ:私は「くみこ」!よろしく!
ロシェ:ここは魔物がうじゃうじゃいる。
ロシェ:さっさと地上へ戻るんだな。
くみこ:名乗る必要など無いさんは、先へ行くの?
ロシェ:まぁ、行けるところまで。
ロシェ:回復用ルーン・エーテルがあと少しだから、
ロシェ:様子をみながら、
ロシェ:ほどよいところで街に戻ろうかな。
くみこ:ルーン・エーテルを使うってことは!
くみこ:まさか!魔法使いさんなの?!
くみこ:そうなの?!
ロシェ:いや、
くみこ:そうなんでしょ?!
ロシェ:近いって、
くみこ:ねぇ!
くみこ:そうなんでしょ?!
ロシェ:痛い痛い痛い、
くみこ:魔法使いさんなんでしょ?!
ロシェ:痛い痛い痛い、
ロシェ:揺らすな揺らすな。
くみこ:魔法使いさんなの?!
ロシェ:そうだよ。
ロシェ:痛い痛い痛い、
くみこ:魔法使いさんなんでしょ?!
ロシェ:そうだよ、痛い痛い痛い、
くみこ:ねぇ!魔法使いさんなの?!
ロシェ:うるさいなぁ!!!
ロシェ:魔法使いだって言ってるだろ!
くみこ:すごーーーーい!
ロシェ:痛ててて、首が取れるかと思った。
くみこ:ねぇ、火は使えるの?
ロシェ:使えるよ。
くみこ:水は?
ロシェ:使えるよ。
ロシェ:とりあえず回復の主力はウェンディ。
くみこ:すごーーーい!
くみこ:土は?
ロシェ:複数攻撃はノームに地響きでやってもらってる
ロシェ:逃げるザコ敵も多いから、
ロシェ:残ったヤツだけを相手にできるしね。
くみこ:風は?
ロシェ:風は最近覚えたばっかりだから、
ロシェ:攻撃力アップのクロスウェイブくらいだけど。
くみこ:ちなみに、光?闇?!
くみこ:どっちなの?
ロシェ:相性は闇属性の方が合ってるみたい。
ロシェ:でも、まだ光属性の魔法も同じくらい使える。
くみこ:うっそ!マジで?!
くみこ:両属性持ちってチートしか見たことない。
ロシェ:ゲームみたいな言い方するな。
くみこ:あ、ごめん、つい。
ロシェ:俺の家系は代々続く魔法使いの家系。
ロシェ:父さんは趣味で格闘技も習得してたけど、
ロシェ:じいちゃんとばあちゃんは両方とも魔法使いだったんだ。
ロシェ:じいちゃんは闇属性の家系で、
ロシェ:ばあちゃんは光属性の家系。
ロシェ:だけど、俺は正直、物理攻撃は苦手。
くみこ:だよねー。
くみこ:見た感じホント、
くみこ:まんま補助系プラス飛び道具って感じよね。
ロシェ:バカにしてんのか?
くみこ:『バカにしてんのか?』メガネくいっ。
くみこ:ふふふ。
ロシェ:バカにしてるだろ。
くみこ:ううん。ちがうの。
くみこ:そういうのすごく好き。
くみこ:好きすぎてやばいだけ。
くみこ:あぁ、よだれ出ちゃう。
ロシェ:(あきれて)あのなぁ……。
くみこ:ねぇ!魔法使ってみて?!
ロシェ:はい。
くみこ:ん?
ロシェ:魔法使ったよ。
くみこ:なにかした?
ロシェ:回復。
くみこ:あ、元気になってる。
くみこ:あ、今朝寝ちがえたの治った。
くみこ:ありがとう。
ロシェ:これでいいだろ?
くみこ:うん。
くみこ:ちがう、よくない。
くみこ:炎は? あの草に火をつけてよ。
ロシェ:はい。着いたよ
くみこ:えーーーーーーーーーー
ロシェ:燃えてるじゃん?
くみこ:えーーーーーーーーーー
ロシェ:はい、水の魔法で消えました
くみこ:えーーーーーーーーーー
ロシェ:なんだよ。
くみこ:ちがうじゃん?
ロシェ:なにが?
くみこ:そういうのじゃないじゃん?
くみこ:魔法使うって、
くみこ:もっとさー、
ロシェ:なに?
くみこ:夢とロマンがつまってるの!!
ロシェ:つまってねぇよ。
くみこ:つまってるの!
ロシェ:夢とロマンってなんだよ。
くみこ:いい?あのね?
ロシェ:なに?
くみこ:『炎の精霊ファイアよ、汝の力を我に与えよ。
くみこ: 研ぎ澄ませ炎のクナイ!
くみこ: ファイアーーー!』
くみこ:とか、
ロシェ:ない。
くみこ:『炎の精霊ファイアよ、汝の力を我に与えよ。
くみこ: 包み込め!炎の双璧!
くみこ: ファイアウォーールッ!』
くみこ:ってなるじゃん?!
ロシェ:なんない。
くみこ:なんなくない!
ロシェ:ない
くみこ:ないくない!
ロシェ:無いよ、
ロシェ:パソコンのセキュリティじゃないんだし、
ロシェ:無いよ。
くみこ:無いくない!
ロシェ:あ、ひとついい?
くみこ:なに?
ロシェ:その木の棒貸して
くみこ:なに?
ロシェ:いいから、その木の棒貸して?
くみこ:はい。
ロシェ:うん。そうなるよね?
くみこ:……?
くみこ:え?
くみこ:なに?
ロシェ:じゃあ、一旦、この木の棒返すね。
くみこ:うん
ロシェ:あ、名前なんて言うんだっけ?
くみこ:くみこ。
ロシェ:木の棒を携えし、あ、属性何?
ロシェ:村人?遊び人?踊り子?弓使い?
くみこ:戦士。
ロシェ:戦士?!
ロシェ:びっくりしたー。
ロシェ:ま、いいや。
ロシェ:じゃあ、木の棒を携えし戦士、なんだっけ?
くみこ:くみこ。
ロシェ:くみこよ!
ロシェ:汝のその手に宿りし木の棒よ!
ロシェ:我にその木の棒を与えよ!
ロシェ:召喚する!くみこの木の棒!
くみこ:えーなんかうざーい。
ロシェ:でしょうがよ!
ロシェ:そうなるでしょうがよ!
ロシェ:召喚の詠唱やってもね、
ロシェ:呼ばれたほうは案外、
ロシェ:テンションの持っていきかたに困るんだよ。
くみこ:えー、でもー、
ロシェ:それに詠唱好きじゃないし。
くみこ:好きじゃなくてもやるの!
くみこ:魔法使えるんだよね?
くみこ:魔法使えるんだよ?あなた、
くみこ:ねぇー、いいじゃん、やってよー。
ロシェ:や、り、ま、せ、ん。
くみこ:『や、り、ま、せ、ん。』メガネくいっ。
ロシェ:やっぱりバカにしてるだろ!
くみこ:私は好きなの!
くみこ:眼鏡男子も!詠唱も!
くみこ:だから詠唱してよ!
ロシェ:やだよ。
くみこ:いいなぁ。魔法使えるのに。
くみこ:魔法使い放題なのに、
くみこ:詠唱し放題なのに、
くみこ:なんで?!
くみこ:なんで?!
くみこ:詠唱しないとか?!
くみこ:カッコいいのに!
くみこ:信じらんない!このひとでなし!
ロシェ:あんたも魔法使いになればよかったじゃん。
ロシェ:誰でも多い少ないはあるけど、
ロシェ:MPあんだから。
くみこ:私の家系は代々戦士なの!
くみこ:戦士のおじいちゃんと
くみこ:戦士のおばあちゃんと、
くみこ:ふたりから生まれた戦士のお父さんと、
くみこ:お嫁さんになった戦士のお母さんから、
くみこ:どうして魔法使いが生まれましょうに!
くみこ:いえ、無理よ!
くみこ:だってお母さんの家系も
くみこ:正統派すぎる戦士の家系ですもの。
くみこ:曽祖父の代はライバルだった?
くみこ:はぁ?!
くみこ:そんな話聞きたくないわよ!
くみこ:私は魔法使いになりたかったのに!!!!
ロシェ:はい。
くみこ:なにしたのよ?
ロシェ:MP(エムピー)の回復。
くみこ:無理よ。
ロシェ:あれ?おかしいなぁ、
ロシェ:なんか回復した手ごたえあったのに。
くみこ:私のステータスに
くみこ:マジックポイントの概念なんて一切無いわ。
くみこ:あるのはエスピーだけよ
ロシェ:エスピー?
くみこ:スペシャルポイント。
ロシェ:嘘だ、
くみこ:嘘じゃないわ。
ロシェ:そんなやついねぇよ。
くみこ:私はSPなの。
くみこ:はい、ステータス。
くみこ:ちゃんと見なさいよ。
ロシェ:うわ、ほんとだ。
ロシェ:え。でも、待ってありえないよ。
ロシェ:SP持ってるのって真の勇者の証、
ロシェ:純粋な血統を持つ勇者の家系……、
くみこ:戦士よ。
くみこ:文句ある?
ロシェ:すげーーーー。
ロシェ:すげーーーー。
ロシェ:マジでやべー!
ロシェ:サンダルにワンピースに、
ロシェ:拾った木の棒が、強そう!
くみこ:別に私は…強くないけど。
ロシェ:あ!スライムがこっちに来る!
くみこ:ねぇ、あのスライムを、
くみこ:魔法で倒して見せてよ。
ロシェ:えー俺が?
くみこ:うん。
ロシェ:しかたないなぁ。
ロシェ:えいっ!やっ!それっ。
ロシェ:ふー。こんなもんかな。
くみこ:炎に風に光の魔法で3ターンかぁ。
くみこ:いいなぁ、たのしくて。
ロシェ:あ、もう一体スライムきた!
くみこ:ねぇ、私の詠唱に合わせて魔法出せる?
ロシェ:いいけど?
くみこ:準備して!
ロシェ:わ、わかった。
くみこ:いくわよ。
くみこ:そこの通り過ぎようとしているスライム!
くみこ:待ちなさい!
くみこ:いくわよ!
くみこ:『炎の精霊ファイアよ、
くみこ: 汝の力を我に与えよ。
くみこ: 研ぎ澄ませ炎のクナイ!!
くみこ: ファイアーーー!』
ロシェ:はい。
くみこ:『大地の精霊ノームよ!
くみこ: その大いなる目覚めを解き放て!
くみこ: 揺さぶれ恐怖のアーク!』
ロシェ:はい。
くみこ:大いなる災いを見たいか、スライムよ。
くみこ:その内なる恐怖をその目で見たいかスライムよ。
くみこ:『光を失い、暗黒をさまよえ、
くみこ: 闇の精霊ブラックサタンよ、
くみこ: 我に力を与えよ、
くみこ: 漆黒で染まれ、
くみこ: ダークネスブラックサンダー!』
ロシェ:はい。
くみこ:わーーーい。
くみこ:倒せたー!
くみこ:なんかすっごくうれしい。
くみこ:魔法使えた感すごい!
ロシェ:っていうか、
ロシェ:ダークネスブラックサンダーって
ロシェ:なにそれ?
ロシェ:オヤツ?
ロシェ:美味しいの?
くみこ:え?知らない?
くみこ:ブラックサンダー。
くみこ:普通に美味しいよ?
ロシェ:精霊に怒られるよ。
ロシェ:そんな大声でちがうの叫んだりしたら。
くみこ:私の声も届くの?
ロシェ:いや、べつに、
ロシェ:MPないから届かないけどさ。
くみこ:ちぇーー。
くみこ:あ、でも、届かないんでしょ?
くみこ:じゃあいいじゃん。
くみこ:なに言っても。
ロシェ:俺、自分のMP、
ロシェ:もう無駄づかいしたくないからね?
くみこ:ちぇー。
くみこ:おもしろかったのにぃ。
ロシェ:おもしろいって理由だけで、
ロシェ:こき使われたら困るんだよ。
ロシェ:ルーン・エーテルが、
ロシェ:あと少ししか無いって言ってるだろ。
くみこ:モンスターもっといっぱい来ればよかったのに。
ロシェ:あ、あっちから!
ロシェ:あーもう、こんな時に、
ロシェ:めんどくさいなぁ、ビッグゴーレム来やがった。
ロシェ:あ、でも、こっちには気づいてない!
ロシェ:アイツは石属性で防御力が鬼なんだ。
ロシェ:長い戦闘になるから、
ロシェ:回復してからいこう、ね。
くみこ:ちょっと待ってて、
ロシェ:ダメだよ!独りで行っちゃ!
ロシェ:木の棒!忘れてるよ!
くみこ:うぉぉぉぉりゃぁぁあ!
くみこ:ビッグゴーレムぅ!
くみこ:くらえ!右のこぶし!
くみこ:はーーーー!てりゃ!!!!!
ロシェ:……。
くみこ:……ふぅ。
ロシェ:……。
くみこ:よしっと。こんなもんかな。
ロシェ:おいおいまじか。素手で一撃かよ。
くみこ:はい、倒したら
くみこ:ルーンエーテル12個落ちてた。
ロシェ:あ、ありがとうございます。くみこ様。
くみこ:サンダルやめたほうがいいかな?
くみこ:ちょっと滑っちゃったから、
くみこ:チカラ入んなかった。
ロシェ:……そ、そうですか。
くみこ:さ、いきましょ?
くみこ:アイテム少なくなって来てるんだっけ?
くみこ:街に戻る?
ロシェ:あ、いえ、充分、ございます。
くみこ:ほかは?
ロシェ:ほかは、大丈夫です。
くみこ:ねぇ?
ロシェ:は、はいっ?
くみこ:私とパーティ組まない?
ロシェ:え?くみこさんとですか?
くみこ:うん、ちょっと魔王のとこまで
くみこ:行かなきゃいけなくて。
くみこ:一緒に行ってくれたら、
くみこ:私、うれしいなぁ、って思って。
ロシェ:えっと…。
くみこ:男の子に声かけるの、
くみこ:ちょっと恥ずかしくって。
ロシェ:……そ、そうですね。
くみこ:ねぇ?
くみこ:一緒に行ってくれるよね?
くみこ:……ね?
ロシェ:はいっ!かしこまりました!!!
くみこ:あ、ちょっと気になったんだけどさ?
ロシェ:は、はいっ!
くみこ:『名乗る必要など無い』さんって本名?
ロシェ:はいっ!
ロシェ:ワタクシ、名乗るほどの者ではございません!
くみこ:じゃあ、ダンジョン地下二階へ
くみこ:れっつごー!
ロシェ:はいっ!よろこんでっ!!!

*** おしまい ***

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