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「御台本」にて、声劇用シナリオ掲載しています。もしよかったら、ご利用ください。#御台本
— koegeki.com (@koegekicom) 2023年3月26日
御台本 Written by odahttps://oda.koegeki.com
【登場人物】 | 【●性別】 | 【登場人物の概要】 |
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根岸奈々実 | ●女性 | ねぎしななみ |
高畑宗志郎 | ●男性 | たかはた そうしろう |
●高畑:点Eの接線の傾きが、右下がりの時、需要、点Dは供給の点Qに対し
●高畑:このように変化するわけであります。であるからして、自由市場が形成されていると仮定した場合
●高畑:消費財Aの需要と供給は、消費財Bの需要量と供給量とに関係なく
●高畑:均衡点が推移していくわけであります。
●高畑:このように、アダムスミスが提唱した「神の見えざる手」と呼ばれる現象も説明がつくわけであります
●高畑:今日は、ここまで
●根岸:せんせー?
●高畑:またキミですか
●根岸:しつもーん
●高畑:次の講義もあるんでしょう?
●根岸:せんせー、しつもーん
●高畑:次の講義は何を取っているんですか?基礎教養かなにかですか?
●根岸:せんせーは、恋人とかいるんですか?
●高畑:小野先生の金融理論を取ってるなら、早く行ったほうがいいですよ
●根岸:せーんせーー、恋人とかいるんですか?
●高畑:いません
●根岸:はーい!立候補しまーす
●高畑:あのねぇ、40後半のおじさんをからかうもんじゃありませんよ。ほら、行った行った
●根岸:だってー、好きになったら仕方ないじゃないですかぁー?
●高畑:君は、僕の講義を聞いていましたか?
●根岸:はーい!全然わかりませーん
●高畑:ん~、それはそれで凹むんですけれども、いいですか?
●根岸:はーい
●高畑:物事には、需要と供給という相互の力学が発生するんです
●根岸:うん
●高畑:需要があっても、供給がなされなければ、それは市場を形成したとは言えないんです
●高畑:その逆もしかり。需要がないところには供給されても、市場とはならない
●高畑:つまり、均衡点は生まれない
●根岸:でもー、神様は見えざる手を使って、うまいことするんでしょぉ?
●高畑:自由市場が形成されている場合にのみ当てはまります
●根岸:えー、神様なにやってんのぉ?
●高畑:であるからして、
●根岸:はーい!
●高畑:はい、キミ。
●根岸:にっぽんわぁ、自由恋愛できる国でーす
●高畑:そうですね。そうかもしれませんね
●根岸:なんでダメなんですかぁ?
●高畑:私は、46歳なわけです
●根岸:うん
●高畑:キミは?
●根岸:ハタチぃ!
●高畑:に、まだなってないんでしょう?
●根岸:はーい。まだ、でーす
●高畑:お父さん何歳?
●根岸:42ぃ。
●高畑:うわぁ、凹みますよ。けど、まぁいいでしょう
●根岸:でもぉ、好きになったら年齢なんて関係ないと思いまーす
●高畑:そう言っていられるのも、今のうちですよ。イテテテテ
●根岸:せんせー、どうしたのぉ?
●高畑:最近、歯が痛くて、水がしみるんですよ
●根岸:虫歯ぁ?おやつ食べて歯を磨かなかったんでしょぉー?
●高畑:それだけじゃないんですよ、老いってやつですよ。知覚過敏だけならまだしも、
●高畑:もしかしたら、歯槽膿漏かもしれない
●根岸:しそーのーろー?なーにーそーれ?
●高畑:まぁ、知らないなら知らないほうがいいんですよ
●高畑:知らなくていいことは知らなくていい
●根岸:せんせー、そーろーなの?
●高畑:大学教授捕まえて何言ってるんですか?未成年なのに
●根岸:こうねんき?とか?
●高畑:そうかもしれませんね、ボロボロですから、あっちもこっちも、老いて老いて老いまくりですよ
●根岸:えー、でも好きー
●高畑:次の講義は?
●根岸:とってなーい
●高畑:(ため息)そうですか。じゃあ、私は研究室に帰りますので
●根岸:行っていい?
●高畑:ダメです
●根岸:先週は誘ってくれたのに
●高畑:語弊がありますよ。誘ってはいません。キミが勝手についてきたのでしょう?
●根岸:ダメって言わなかったぁー
●高畑:困りますよ、あんなことされたんじゃ、僕は大学にいられなくなりますよ
●根岸:えー
●高畑:えーじゃない
●根岸:むぅ
●高畑:むすくれても何も出ませんよ
●根岸:ちぇー
●高畑:パソコンもいれたし、プロジェクターも切ったし、教室の電気も切ったし
●根岸:アタシとふたりきりだしー?
●高畑:はい、寝ぼけてるなら帰って寝たほうがいいですよっと(ドアを閉める)
●根岸:あっ。なんでー!なんでしめるんですかー
●高畑:遊んでないで出てきなさい
●根岸:研究室行っていい?
●高畑:ダメです
●根岸:行っていいって言ってくれないと、アタシ、ここから出ない
●高畑:はい。じゃあ、カギをしめておきますね
●根岸:あーー
●高畑:出てきなさい
●根岸:研究室……
●高畑:用もないのに来る意味がわかりません
●根岸:あっ!
●高畑:無用な思い付きはいりませんからね
●根岸:はーい!せんせー!
●高畑:なんですか?
●根岸:今日の講義のぉ~、わからないところがあるので~教えてくださぁい!
●高畑:……ぐぅ
●根岸:ね?
●高畑:どこがわからないんですか?
●根岸:えっとぉ、せんせーとぉ、アタシのぉ?均衡点Lの座標
●高畑:ハイ、バカにするのもいい加減にしなさい。はい、教室を閉めますからね
●根岸:はーい
●高畑:よし、生徒も教室にいない、電気も消した、カギも閉めた
●高畑:僕は教務課に行って、カギを返してから研究室に帰ります
●高畑:では…
●根岸:…せんせーー……あ、そゆことね!せんせっ!
(第2話へつづく)
●根岸:せんせー、アタシ来ちゃった
●根岸:ここのカギ、閉めますね
●根岸:これで、ふたりきり
●根岸:アタシ…
●根岸:あ、ダメせんせい…
●根岸:何も言わずに近づいてくるなんて
●根岸:せんせー、アタシ
●根岸:ダメ、首は弱いの…
●根岸:そこっ、弱いの知ってて、ダメ…あっ
●根岸:せんせー、アタシ、まだ19だけど…
●根岸:結婚できちゃう年齢なの
●根岸:そんな目で見られたら、アタシ…とけちゃう…
●根岸:せんせー
●根岸:そんなに強く抱きしめられたら、んっ
●根岸:せんせーのこと、もっと好きになっちゃう、あっ
●根岸:アタシ、もう、ガマンでき…ない…から
●根岸:せんせー
●根岸:キス、して?
●根岸:ねぇ、せんせー、ここで、キス、し、て?
●高畑:なにをやっとるんだね。僕の研究室の前の廊下で、それをやるなと言っただろ、毎回毎回
●根岸:い、いつからいたんですかぁ? いるならいるって言ってくださいよぉ~もう~
●高畑:今、戻ってきました。
●根岸:つづき、してもいいんですよぉー?
●高畑:(ため息)
●根岸:(吸い込む)アタシ吸ってあげます
●高畑:はぁ?
●根岸:そんなため息ついたら、しあわせ逃げちゃいますよぉ?
●高畑:そうですか、そうですね、いっぱい吸って、君だけ幸せになって、さっさとどっかに行ってください
●根岸:えー
●高畑:えーはこっちのセリフです
●根岸:えー
●高畑:研究室に入れないので、ドアから離れてください
●根岸:研究室に入れてくれる?
●高畑:交換条件ですか?
●根岸:いいえ
●高畑:ただの願望ですか?
●根岸:いいえ
●高畑:なんですか?
●根岸:研究室に入れてください
●高畑:嫌です
●根岸:ここで、大声出しますよ?
●高畑:お願いの域を突破してますよ?
●根岸:脅迫です
●高畑:いやいや
●根岸:ここで大声出すのと?
●高畑:はい
●根岸:研究室内に入れてくれるのをどちらを選ぶんですか?せんせ?
●高畑:どーせ、研究室内で大声だすんですから、入れませんよ、もう
●根岸:えーー、なんでーー
●高畑:なんで?じゃないんですよ、また守衛さんを呼ぶ気ですか?
●根岸:じゃあ、ここで大声だします
●高畑:いいですよ?
●根岸:いいんですか?
●高畑:どんなセリフで大声出すプランなんですか?
●根岸:えっと…
●高畑:考えておきなさいよ
●根岸:ちょっと待ってぇ
●高畑:待ちます。セリフを考えている間に、そうですね、コーヒーでもいれましょう
●根岸:あ、いいなぁ
●高畑:そこでセリフを考えておいてください、時間はたっぷりありますから
●根岸:う~ん
●高畑:叫ぶんですよね?効果的なセリフで叫ばないと、もったいないですよ?いいですか?
●根岸:それもそうですよねぇ~
●高畑:カバンが重いので、一旦中において、コーヒーを淹れておきます、ちょっといいですか、
●高畑:あなたの分もコーヒー淹れてあげますからね
●根岸:はーい
●高畑:じゃあ、コーヒーが入ったら、また、廊下にでてきますので
●高畑:そしたら、続きをやりましょう。先生もどんなセリフを君が言うのか、とても楽しみです
●高畑:とびきりステキなセリフで、叫んでくれないと、満足しませんからね?いいですか?
●根岸:はーい
●高畑:じゃ、ちょっと失礼
●根岸:ん~、なにがいいかなぁ~、せんせーどんなのが好きかなぁ~
●高畑:よし、カギが開いたので、では。ちゃーんと考えるんですよ?
●根岸:はーーい!
●高畑:…(研究室へ入る)
●根岸:どうしよっかなぁ~
●高畑:…(ドアを閉める)
●根岸:う~ん
●高畑:…(カギをしめる)
●根岸:…
●根岸:…う~ん
●根岸:…怒ってる感じがいいのかなぁ?
●根岸:…ちょっと泣いてる感じのほうが好きかなぁ?
●根岸:それとも、もうちょっと激しい感じのほうが、せんせードキドキします?
●根岸:あ。
●根岸:あーーー!(ドアを叩く)
●根岸:せんせー!(ドアを叩く)
だましたー!
●根岸:なんでカギしめてるんですかぁ!
●根岸:せんせー!
●根岸:無視しないで!
●根岸:せんせー!
●根岸:…どうして
●根岸:…どうして、アタシ、こんなにせんせーのこと好きなのに
●根岸:ねぇ!せんせー!
●根岸:あ、開いた
●根岸:せんせー、あけてくれるんですね
●根岸:あ、そんな、いきなり、そんなこと
●根岸:ダメですって、廊下、あっ、廊下ですよっ、あっ、んっ
●根岸:そんな強く、あっ、
●根岸:せんせ、い、あっ、だ、ダメ、そんな、ふうに、され、たら、アタシ、あっ
●根岸:せんせー、そこは、あっ
●根岸:…ちっ、これでもダメか
●根岸:もー!なんでー!無視するんですかぁ!
●根岸:(ドアをたたく)聞こえてるんでしょー?!
●根岸:せんせー!
●根岸:アタシも、せんせーのコーヒー飲みたいぃ!
●根岸:あ。守衛さん、どうも……
●根岸:え、あ、いえ、講義のプリントを取りに来て、せんせーを待ってるんです。え?
●根岸:いやっ!ダメっ!痛いっ!離してっ!痛いっ!
●根岸:アタシ、せんせーに、用事が、あって、
●根岸:痛いっ、痛いっ、せんせー!助けてっ
●根岸:あ、あーーー(遠ざかっていく)
(第3話へつづく)
●根岸:あ。守衛さん、どうも……
●根岸:え、あ、いえ、講義のプリントを取りに来て、せんせーを待ってるんです。え?
●根岸:いやっ!ダメっ!痛いっ!離してっ!痛いっ!
●根岸:アタシ、せんせーに、用事が、あって、
●根岸:痛いっ、痛いっ、せんせー!助けてっ
●根岸:あ、あーーー(遠ざかっていく)
●根岸:あーーーーー(小さくなっていく)
●根岸:…ぐはぁ
●根岸:…
●高畑:なにを独りでバタバタしとるんだね。
●根岸:あ、せんせー
●高畑:守衛さんも来てないし。ずっとそうやってるつもりですか?
●根岸:だって…
●高畑:不審者に思われますから、コーヒー飲みに入りなさい
●根岸:でも…
●高畑:入らないんですか?
●根岸:だって…
●高畑:そこで暴れられるより、マシですよ、ほら
●根岸:いいの?
●高畑:それも作戦ですか?
●根岸:いいえ。作戦なんかじゃない。だって、ぜんぜん相手してくれないんだもん
●高畑:こちらの理由もあるんですよ、ほら、入ってください
●根岸:はーい
●高畑:ちょっと真面目な話があります
●根岸:カギ閉めたほうがいい?
●高畑:表に、これを貼ってください
●根岸:打ち合わせ中?
●高畑:いいから
●根岸:はい
●高畑:座って。はい、コーヒーどうぞ
●根岸:…はい
●高畑:若いってのはいいですね。元気があって。僕にもねそのくらいの時期がありました
●高畑:どうぞ、ミルクもお砂糖も使っていいから
●根岸:せんせーは、ミルクとお砂糖は?
●高畑:僕はブラックです
●根岸:じゃあ、アタシもブラック
●高畑:どうもね、君を見ているとね、昔を思い出すんです
●根岸:昔?
●高畑:ええ。ちょうど君と同じくらい、大学生の頃
●根岸:(コーヒーを冷ましている)ふーーふーー
●高畑:好きな人がいました。後にも先にも、あの人以上の人は現れていません。
●根岸:純じゃん、せんせー
●高畑:まぁ、研究が面白いってのもありますが、
●根岸:どんなひと?
●高畑:ひとつ年下の、同じゼミの人でした
●根岸:年下?
●高畑:ひとつだけね。
●高畑:いつも華やかで、人気者で、明るくて、でも、ふとした瞬間に影を感じる。そんな人でした
●根岸:…ステキな人
●高畑:正直言うと、どことなく、君に似ています。
●根岸:その人とは会ったりするの?
●高畑:いいえ。今はもう、どこで何をしているのか、わかりません
●根岸:一つ下だから、45歳?
●高畑:そうですね、その人は浪人もしていませんでしょうから、44歳
●根岸:2つした?
●高畑:ボクが1浪していますから
●根岸:なんていう名前のひとなの?
●高畑:片岡久美子(かたおかくみこ)という名前の人です
●根岸:え?
●高畑:どうかしたんですか?
●根岸:ママ、と同じ。
●高畑:またまた、冗談を
●根岸:写真、あるの。ママの、見る?
●高畑:まぁ、ね、そんなこともあるかもしれませんね
●根岸:はい
●高畑:……くみこさ、ん
●根岸:ママ、アタシの
●高畑:ふふふふふ、はははははは、あははははははは、そっかそっか
●根岸:どうして笑うの?
●高畑:そっか、20年も、経つか、そっか。…そっか
●根岸:…せんせ?
●高畑:君が、生まれたわけですね
●根岸:…せんせ?
●高畑:パパはどんな人?
●根岸:優しい。アタシのこと大好きだから、毎週金曜日の夜に電話してる
●高畑:そっかそっか
●高畑:ママは?
●根岸:おせっかい。昨日も宅急便で野菜とか送られてきた
●高畑:ひとりぐらしをしている娘がかわいくてしかたないんだねぇ
●根岸:それは、そうかも
●高畑:(ため息)あ~、そっかそっかそっか
●根岸:せんせ?
●高畑:……
●根岸:大丈夫?
●高畑:僕は、大学生、大学院、3年くらい企業で研究職にいましたが、また戻ってきて先生をやってます
●根岸:うん。知ってる
●高畑:ずーっと大学生の気分のまま、今も、変わってない。そんな感じ
●根岸:うん
●高畑:正直に言いますね?
●根岸:う、うん
●高畑:今日、僕は、今、やっと、失恋をしました
●根岸:……アタシのせい?
●高畑:ううん。
●根岸:…アタシが悪いの?
●高畑:僕はね、やっと、失恋できた。嬉しいんです
●根岸:失恋なのに?
●高畑:そう、失恋なのに、嬉しいんです
(第4話へつづく)
●高畑:僕は、大学生、大学院、3年くらい企業で研究職にいましたが、また戻ってきて先生をやってます
●根岸:うん。知ってる
●高畑:ずーっと大学生の気分のまま、今も、変わってない。そんな感じ
●根岸:うん
●高畑:正直に言いますね?
●根岸:う、うん
●高畑:今日、僕は、今、やっと、失恋をしました
●根岸:……アタシのせい?
●高畑:ううん
●根岸:…アタシが悪いの?
●高畑:僕はね、やっと、失恋できた。嬉しいんです
●根岸:失恋なのに?
●高畑:そう、失恋なのに、嬉しいんです
●高畑:ずーっとずーっと好きだったんです。片岡さんが
●高畑:だけど、言い出せずにいたし、なんていうか、アイドルを眺めてるくらいの距離感でね
●根岸:…アタシ生まれてこなきゃよかったのかな
●高畑:ちがうよ。それはちがう。君が生まれて来てくれたから、僕は今、失恋できたんだよ
●根岸:でも、せんせー、悲しいんでしょ
●高畑:悲しくないんだよ。なんていうか、荷物を降ろせた感じ。わかんないだろうな
●高畑:ずーっと思ってはいたけれどね、僕には誰かを幸せにできるなんて
●高畑:そんなこと一度も思ったことがない。だから、独りで生きてきたし
●高畑:なんだったら、ずっと独りでいいとも思ってる
●根岸:そんなことないよ
●高畑:ありがとう。まぁ、根っからの卑屈なヤツなんだよ、僕はね
●高畑:だから、研究に没頭して、世界から離れて、そうやって殻に閉じこもって生きてきた
●高畑:だから、君が生まれて来てくれたことがとても幸せで嬉しいんだよ
●根岸:うれしいの?
●高畑:人生で、一番好きだった人が、幸せな人生を送っている
●高畑:最愛の人であるパパさんに出会って、娘がいて、
●高畑:その娘は、こんなにも、天真爛漫で、元気に、生きている
●高畑:その人の、愛情の塊である君から、
●高畑:君のママが、元気で幸せで、おせっかいな母親をやってると知ることができた
●根岸:せんせ…
●高畑:僕はね、よかったって思う。僕にはできない幸せを手に入れてくれたことがうれしいんだよ
●根岸:アタシも幸せになりたい
●高畑:僕は君の幸せを応援するよ
●根岸:アタシ、先生と恋人になりたい
●根岸:アタシの恋人は、大学教授のせんせいなの!
●高畑:ありがとう。そう言ってもらえるのはうれしい。けどね。
●根岸:けど?
●高畑:僕は、過去を思い出したくないとも思ってる
●高畑:君は、僕の好きだった人とそっくりだ
●高畑:うん、やっぱりそっくりだ。だから、僕には、無理なんだよ
●根岸:せんせー、質問
●高畑:なんだい?
●根岸:せんせーは、恋人をつくるんですか?
●高畑:もう、つくらないよ。今、失恋したばかりだしね
●根岸:じゃあ、いいじゃん!
●高畑:じゃあ、って。僕は結婚するつもりもないよ
●根岸:だったら、いいじゃん
●高畑:いいじゃんってなにが?
●根岸:アタシもせんせーみたいな失恋がしたい!
●高畑:え?急に何を言い出すんだい?
●根岸:アタシはせんせいが好き。だから、恋人になってほしい
●根岸:せんせい以外考えられないの
●高畑:まだ若いからだよ
●根岸:いいの
●高畑:よくないよ。もっといい人がいるよ
●根岸:うん。せんせいより、もっともっといいひとがいる。
●高畑:そうだね
●根岸:だから、本当にせんせいを超えるひとと出会えるか、試してみたいの
●高畑:なるほど
●根岸:需要があって、供給がないと、市場が成立しないんでしょ?
●高畑:そうだね
●根岸:アタシは、市場が成立しないまま、永遠に先生を思って、恋し続けて、おばあちゃんになっちゃう
●高畑:なるほど
●根岸:それでもいいの?アタシ、幸せになれない
●高畑:でも、僕はたいした人間じゃない。君が思うほど、イイ人でもない
●根岸:それは、アタシが決めるの。たいした人間じゃなかったら、大学卒業より先に卒業できるでしょ?
●高畑:あははははは、確かに。いい仮説だ。
●根岸:先生は大したことがないって言う。でも、均衡点がわからないから、確かめようがないの
●高畑:なるほど
●根岸:一度形成した均衡点が、長続きするかどうかは?
●高畑:わからないね
●根岸:アタシが先生を好きでいられる均衡点Lが、卒業式までもつかどうかはわからない
●高畑:僕が恋人にならないと言ったら?
●根岸:せんせーの年より、もっと先まで片思いできる自信しかないもん
●高畑:それはよくないな
●根岸:アタシ、せんせーみたいになっちゃう
●高畑:あはは、それはよくない
●根岸:せんせー、アタシの恋人になってよ
●高畑:こんなのでいいの?
●根岸:アタシ、頑固だから
●高畑:どうやらそうらしいね
●根岸:誰に似たと思う?
●高畑:パパ?
●根岸:ううん。ママに似て、頑固なの
●高畑:それは困ったなぁ。でも、君の姿の向こうに、ママのことを思ってしまうかもしれないよ?いいの?
●根岸:それでもいい
●高畑:僕の負けだ
●根岸:いいの?
●高畑:君が飽きるまで付き合ってあげるよ
●根岸:ねぇせんせ?アタシ、今、すっごく幸せ
●根岸:だって、アタシの恋人は大学教授のアナタだから!
*** おしまい ***
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— koegeki.com (@koegekicom) 2023年3月26日
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