御台本

御台本 - Written by oda

名探偵 菜帆 第2話 消えたプリン
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
菜帆 女性 最近、見た映画に影響を受けすぎる。腹話術が得意。
アキ 性別不問 ぬいぐるみ。菜帆が操っている。※声は別の役者さんでOKです。
女性 おかあさん。
女性 お姉ちゃんです。
お父さん 男性 お父さんです。

あらすじ

重大な事件が起きてしまう!
菜帆の名推理がここに!
誰も待っていない待望の第2話!

名探偵 菜帆 第2話 消えたプリン


菜帆:おはよー
母:おはよー、なほ、やっと起きたのね
姉:あんたさーまだ寝てたの? もう昼過ぎてんのよ
母:どうしたの?冷蔵庫なんか開けて。
母:そこ洗面所じゃないわよ?
菜帆:あ!
アキ:ビャ!
菜帆:ない!
アキ:ナイよ!ナイよ!
菜帆:おかあさん!
アキ:おかあさん!
母:どうしたの?
菜帆:ないの!
アキ:ナイの!ナイの!
母:あらー、アキちゃんもおはよう
アキ:おはよう!おはよう!
菜帆:そんなことより無いの!
母:麦茶なら今作ってるわよ?
菜帆:昨日食べるはずだったプリン!
アキ:ナイの!ナイの!
母:あらー、たいへんね~、
姉:どしたの?
菜帆:ないの!昨日食べるはずだったプリン!
姉:あ、昨日食べなかったから逃げたんじゃないの?
母:あらー、逃げちゃったのかしら~、たいへんね~、
菜帆:これは事件です!
アキ:これは事件です!
姉:あんたさー、もう、その腹話術やめなよ
母:いいじゃない。上手だし。
姉:でもさー
菜帆:アタシのプリン無くなってるの!
母:お姉ちゃん知ってる?
姉:アタシ食べた。
アキ:事件!事件!
姉:さっき、お父さんに買ってきてって頼んだ。
アキ:事件!事件!
菜帆:アタシの大切なプディングを食べた犯人は!
アキ:犯人はー!
菜帆:この中にいるぅうううううう!
母:あらあら
姉:なんか始まったし。
菜帆:犯人はー!
アキ:この中にいるぅうううううう!
姉:それやりたいだけじゃん。
菜帆:事件が起きたのは、土曜日の午後14時。
母:(拍手する)
姉:ちょっとお母さん。
母:いいじゃない。毎週楽しみなの。
姉:なに?ニチアサなのこれ?
菜帆:昨日、アタシが楽しみにしていたプリンが!プディングが!無くなっている。
アキ:プリンないプリンない!
菜帆:事件現場は、お台所の冷蔵庫。2段目の右。
アキ:冷蔵庫!
菜帆:お父さんが買ってきてくれたのは、昨日の午後8時過ぎ。
母:そうね。
菜帆:お姉ちゃんが帰ってきたのも、午後8時過ぎ。
姉:うん。一緒に帰ってきたし。
母:晩御飯食べたの、もう9時過ぎてたわよね。
菜帆:菜帆が昨日、寝たのは8時45分。
姉:はや。
母:寝る子は育つのよ。
菜帆:犯行は、夜9時から、今、午後2時までの間に行われたことは間違いない!
母:そうねー
アキ:まちがいない!
菜帆:容疑者は、
姉:うん
母:……
姉:はい!
アキ:容疑者は!
菜帆:この中にいるぅうううううううう!
アキ:この中にいるぅうううううう!
姉:それ言いたいだけじゃん
菜帆:では、ひとりずつアリバイを調べて行こう
アキ:アリバイアリバイ
母:おかあさんは、昨日は夜の12時まで、リビングにいたわ。
姉:アタシもリビングにいた~
母:お母さんが起きたのは8時。お姉ちゃんは10時ごろ起きて来たわ
姉:うん。朝ごはん食べたときは、まだあったよ、プリン。
母:そうね、あったわ。
菜帆:うむむ
アキ:ふたりにアリバイ、ふたりにアリバイ
母:朝ごはんより前には、プリン食べたりしないでしょ?
菜帆:どうして?
母:だって、デザートですもの
姉:あー、ね。
菜帆:じゃあ、お父さんがあやしい!
アキ:お父さんがアヤシイ!
菜帆:お父さんは?
姉:朝、出てったよ。
母:ホームセンターに行くって、10時頃かしら?ね?
姉:うん、たぶんそのくらい。
菜帆:はっ!じゃあ、お父さんが犯人ね!
アキ:お父さん!ハンニン!お父さん!ハンニン!
母:あら、じゃあ、事件は解決ね
姉:えー、でも、ゴミはそこにあるじゃん?
菜帆:はっっ!
アキ:ゴミがそこに!
姉:お父さんが犯人だとしたら、どうやって持っていくの?
菜帆:犯行はこう!
菜帆:プリンの上のフタを丁寧にめくる。
菜帆:左手を腰にあて、ぐびっと飲み込む。
アキ:ゴクゴク!プハーー!うまい!
菜帆:ごみをそのゴミ箱に捨てる。
母:あらー名推理ね。
姉:いやいや
菜帆:解けない謎は、たぶん、わりと、ない!
姉:いや、もっとズバッと言いなさいよ
アキ:解けない謎は割と多い
姉:多いんじゃん
母:じゃあ、犯人はお父さんね。
姉:めんどくさ。
母:あ、でも、お父さんのアリバイは?
菜帆:アリバイ?
アキ:お父さんのアリバイ!
母:お父さんは昨日の夜も先にお部屋に戻って本を読んでたみたいだし、
母:起きてきたのもお母さんより遅いわ。
姉:台所にたって、プリンの一気飲みなんかしてないよ。
母:私もここにいたから、お父さんには、アリバイがあることになるわ。
菜帆:アリバイが!
アキ:お父さん!アリバイ!お父さん!アリバイ!
菜帆:これは、難事件だわ
アキ:難事件!難事件!
姉:なんか、腹話術前よりうまくなってない?
母:え、前から結構上手よ。
アキ:えへへへへへへへ
姉:きも
アキ:キモって言うな。
母:お姉ちゃんダメよ、言い過ぎ。
姉:……ごめん
アキ:きずつくわーーー
母:ね?
姉:ごめんて。
アキ:かまへん、かまへん
姉:なんで大阪弁?
母:あ、そういえば、あとひとり、アリバイがない容疑者がいるわ
アキ:容疑者!容疑者!
菜帆:え?だれ?
母:……
姉:……
菜帆:?!アタシ?
アキ:菜帆!アリバイ!
母:菜帆ちゃんのアリバイは?
菜帆:アリバイは……
姉:8時45分に寝て?
菜帆:えっと、11時半くらいにリビングに出てきた
姉:うそばっか
母:あれれぇ?おかしいわぁ?
姉:お母さん?それなんかパクってんの?
母:あれれぇ?おかしいわぁ?
菜帆:いや、えっと
姉:何時に起きてきたの?
菜帆:2時
母:正しくは、2時15分くらいね
姉:嘘ついたー、菜帆、あやしぃー
アキ:菜帆あやしー、菜帆あやしー
菜帆:いや、えっと、2時過ぎです。
母:部屋にいたの?
菜帆:寝てた
姉:ホント、そんなによく寝られるわね。
母:昔から、寝る子は育つっていうのよ。
姉:それ、さっきも聞いた。
菜帆:えっと……
母:アリバイが無いのは、この中で、菜帆だけだわ。
姉:そうなるね。
アキ:そうなる。そうなる。
菜帆:えー、でもー、
母:じゃあ、犯人の証言を聴こうかしら
姉:そうね、重要参考人だわ
菜帆:えっと、8時45分に寝て、
姉:ホントに8時45分にだったの?
母:8時30分には眠そうな顔して部屋に戻っていったわ
姉:お母さんの目撃情報ね
母:それから?
菜帆:寝た。
母:それから?
菜帆:起きたら、2時だった
母:おねえちゃん、だそうよ
姉:えーーー、あやしーーい、菜帆が食べたんじゃないの?
菜帆:菜帆食べてないもん!楽しみにしてて起きたらないんだよ?!
菜帆:食べた記憶あったら、「無い!!」って言わないもん
母:そうよね。
姉:えーーー?ほんとにぃーーー?
菜帆:菜帆食べてたのに、朝起きて「無い!!」って言ってんのヤバくない?
母:そうね。
姉:その腹話術のクオリティだけでも十分ヤバいけどね
アキ:やばいやばい
菜帆:だってー、楽しみにしてたんだもん
母:あらまぁ
菜帆:なんでー、だれがたべちゃったのー
母:そうね~
菜帆:プリン楽しみにしてたのにー
姉:プリン食べた夢見てない?
菜帆:見た
姉:じゃあいいじゃん
菜帆:よくない!
母:お姉ちゃん、ダメ。
姉:はーい
母:菜帆?
菜帆:なに?
母:朝ごはん食べる?
菜帆:たべるぅ
アキ:プリン、タノシミニぃ、してたのにぃ
菜帆:……
姉:昨日食べちゃえばよかったじゃん
アキ:だってぇだってぇ
姉:だって?
母:はい、パン焼けたから、マーガリン塗って。
菜帆:はーい。だってぇ、眠たかったんだもん。
父:ただいまー
姉:あ、真犯人帰ってきた
父:おはよ、菜帆。
菜帆:(もぐもぐしながら)おはよー
父:お姉ちゃん、はい、買って来たよ。プリン
姉:ありがとー、犯人さん
父:犯人?
アキ:プリンたべたかったのー
父:あらあら、お姉ちゃん食べたの?
姉:うん。
父:ダメじゃん、菜帆の残しとかないと
姉:えー
父:おなかプリンプリンなっちゃうよ?
姉:なってないもん!
母:お父さん、年頃の娘にそゆこと言っちゃダメでしょ。
父:はーい
母:お父さん、コーヒー淹れたら飲む?
父:うん、飲む。菜帆~
菜帆:なにぃ
父:はい、プリン、どうぞ
菜帆:ん!は!
アキ:(もぐもぐしながら)プリンー!
父:これで、おおめにみてあげなさい、ね。
菜帆:はーい
アキ:お父さんアリガトウ、お父さんありがとう
父:はーい。
母:はい、コーヒー。
父:ありがと。で、事件の謎は解けたのかい?
姉:さっき、お父さんが犯人かもって言ってた。
アキ:犯人は!このなかにいるーーーーー!
父:じゃあ、犯人の自供の時間かな?
姉:あ、友達からメッセージ来たから部屋戻るね~
母:晩御飯は?
姉:家で食べるー。
父:あれは、昭和のある日だった。犯人の私は……そうだな
母:菜帆?プリン今食べる?
父:父、武文(たけふみ)、母、良子(りょうこ)の次男としてこの世に産まれたんだ。
菜帆:たべるー
父:幼稚園は、西区の最乗寺(さいじょうじ)が経営する、
父:大正幼稚園(たいしょうようちえん)に通うことになった。
母:はい、スプーン。
父:お母さんお砂糖
母:おかあさんはお砂糖じゃありません
父:はにー
母:はいはい
父:あれは5歳になる歳だった。
アキ:小学校!小学校!
父:あ、ちがうんだよ、まだ幼稚園
菜帆:幼稚園?
父:青組にひとりの転校生が入ってきた。
父:5月、連休明けの天気がいい日だった。
母:初日は大雨だったでしょ
父:美しかったよ。プリンおいしい?
菜帆:おいしい。
父:その転校生は、お父さんより少し小さくて、
父:肌も白くて、長い黒髪が美しかった。
菜帆:もう一個食べたい
母:一個にしときなさい。プリンプリンになっちゃうわよ
アキ:おかーさんも言うんじゃーん!
母:アキちゃんはえらいこだもんねー?
アキ:えらいこ!がまん!
母:えらいね~
父:美しかったなぁ。かわいかったなぁ。まぁ、いまでもかわいいけど。
母:もう、ヤダ。
菜帆:なんでお母さん照れるの?
母:はい、そろそろ終わりにしましょーね
父:えー、今からじゃん、お父さんの過去回想が続くいいとこだよ?
母:はい、おしまーい。
父:えーー
アキ:えーーージャナイ!
父:えーー。

*** おわり ***



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