御台本

御台本 - Written by oda

プリンの冒険譚(ぷりんのぼうけんたん)
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
プリン 性別不問 プリンです。

概要

プリンが冒険にでてしまいました。
プリンが好きすぎて、プリンになりたい。
そんな特殊な人のためだけのシナリオです。
※この物語はフィクションであり、実在の団体、商品等とは一切関係ありません。
※アドリブは可能ですが、具体的な商品名を言うことはやめてください。
※また、類似のものや想起させる商品などを悪く言うようなアドリブはかなしいのでやめてください。
 

【登場する単語の読み方】
紆余曲折(うよきょくせつ)
疲労困憊(ひろうこんぱい)

プリンの冒険譚(ぷりんのぼうけんたん)


プリン:こんにちは、プリンです。
プリン:いろいろと紆余曲折ありまして、
プリン:冒険の旅に出ておるわけでございます。
プリン:街の冷蔵庫から飛び出して、
プリン:荒野を歩いていると、
プリン:なんだか、勇者になったような気分で、
プリン:とても勇ましい気分で、
プリン:カラメルの糖度も少し上がったような気分になるのです。
プリン:え?
プリン:ええ、ですから、プリンです。
プリン:ほぼ卵と牛乳です。
プリン:装備は、透明のこのスプーンと、
プリン:工場出荷時点で充填されたこの透明なプラスチック容器。
プリン:どんな攻撃も、どんな冷気も跳ね返します。
プリン:ほら、キラキラしてるでしょう。
プリン:お気に入りの6つの丸みととがったツノの透明な鎧。
プリン:オレンジ色とはっきり見やすいロゴ。
プリン:パッケージの裏側がシルバーで、
プリン:ボクにとっては最高の盾、
プリン:兼、頭用の装備といったところでしょうか。
プリン:ボクのお気に入りです。
プリン:賞味期限って書いてあるステータス値の特徴は、
プリン:スピード感が優れているところです。
プリン:ボクは、イマイチ、賞味期限の意味はわかっていませんが、
プリン:まぁ、そうですね、悪くない設定値なんだろうと思います。
プリン:初めて出会った敵は、コウモリによく似た空を飛ぶ魔物でした!
プリン:「えい!あっちいけ!」
プリン:「くるなー、やめろやめろって!」
プリン:「爪はやめて、爪はダメだって!」
プリン:まぁ、ボクのこの透明スプーンの一撃で、
プリン:うろたえたコウモリのような魔物は、
プリン:ひるんで逃げて行きました。
プリン:そうですね、爪の攻撃にも、
プリン:ボクの鎧は、傷ひとつつくことなく、余裕です。
プリン:盾に少しだけ、線のようなキズが入った程度です。
プリン:こんなキズも、冒険の勲章でしょう。
プリン:ボクには夢があるのです!
プリン:世界を救う勇者、
プリン:プリン・ア・ラ・モードに俺はなる!
プリン:細かいことを言うようですが、
プリン:たしかに67グラム入り3点セットの彼らにも、
プリン:勇者になれないことはない、とは思います。
プリン:勇敢な心が有れば、成せる偉業はあるでしょう。
プリン:けれど、やはり、ボクぐらい、
プリン:つまりは、160グラムも入っている、
プリン:ボクぐらいビッグなプリンでなければ、
プリン:この困難な冒険を乗り越えていくことは、
プリン:きっと難しいはずです。
プリン:だからこそ、ボクは旅に出たのです。
プリン:荒野を歩きながら、
プリン:汗をかいて、
プリン:鎧に土がまとわりついても、
プリン:ボクは、夢に向かって歩いて行きます。
プリン:その時!
プリン:出たな!
プリン:宿敵!
プリン:ここで会ったが1日目、
プリン:ほよんぽよんしやがって!
プリン:この透明スプーンで、すくいとってみせる!
プリン:勝負だ!スライム!!
プリン:「いやー、ぷにぷにしてくんなー」
プリン:「なんか、ぬるい、ぬるいって〜」
プリン:「だから、なにがしたいんだよー」
プリン:「もちもちすんなー、
プリン: 跳ねるなー、
プリン: 攻撃する気ないだろー、
プリン: これじゃあじゃれてるだけじゃないかー!
プリン: まとわりつくなー!」
プリン:ボクは、必殺技を繰り出します!
プリン:「いくぞー!ジャン拳グーーー!」
プリン:スライムはボクの攻撃をまともにくらって、飛んでいきます!
プリン:チョキでもなくパーでもない、
プリン:特別なボクの必殺技です。
プリン:生まれ故郷で習得した、
プリン:おいしさと健康にこだわった師匠の流儀です。
プリン:しかし!
プリン:飛び跳ねたスライムは、岩で跳ね返って、
プリン:ボクの攻撃そのままの勢いで反撃してきました!
プリン:「うわーーーーーーーーーーーー」
プリン:あまりの衝撃に、からだじゅうが揺さぶられます。
プリン:ボクの盾に大きく亀裂が入ります。
プリン:次の瞬間、空からコウモリの魔物が襲ってきます!
プリン:しかも!
プリン:ボクの盾の、OPENと書いた部分を、
プリン:あえて引っ張るように、つかんできます!
プリン:「やめろー!
プリン: そこからつまんだら、あいちゃうだろー!
プリン: フタがあいちゃうだろー!
プリン: あ、フタって言っちゃった、
プリン: やめろーやめろよー」
プリン:ボクの体が空へ連れ去られます!
プリン:地面から離れ、空高く舞い上がります!
プリン:OPENと書いた部分から引っ張られ、
プリン:ボクの自慢の盾が、コウモリの魔物に奪われました。
プリン:ここからはまるでスローモーションでした。
プリン:コウモリの魔物が、ボクの盾を大事そうに、
プリン:うれしそうに持っているのが、見えます。
プリン:ぼくの体は、浮力を失って、
プリン:くるくると回転しながら、ただただ落ちて行きます。
プリン:遠くに見える地平線がとてもきれいです。
プリン:西側に広がる水平線に沈んでいく太陽が、輝いています。
プリン:北にそびえる、なんていう名前だったか忘れましたが、
プリン:一年中雪の降っているあの山脈が、美しく、偉大です。
プリン:「あぁ、これで、終わりだな」
プリン:そう思いました。
プリン:真っ逆さまに、頭から落ちて行きます。
プリン:ゆっくりと、そう、自分にとっては。
プリン:「地面にぶつかる!」
プリン:その時!
プリン:宿敵スライムが、ボクを包み込んだのです!
プリン:ボクを優しく受け止め、
プリン:広がりながら、その衝撃を逃していく、
プリン:まるで、大きな花が、その開花の瞬間を迎えた時のように。
プリン:ボクは無傷でした。
プリン:逆さまに落ちたにもかかわらず、
プリン:揺れもせず、崩れもせず、それは奇跡でしたが、
プリン:まるで輸送中の段ボール箱と
プリン:安全運転の優しいトラックを思い出すような、
プリン:そんな瞬間でした。
プリン:「……ス、スライム、お前、俺を助けてくれたのか」
プリン:スライムは無言でした。
プリン:けれど、ボクを包み込んだその優しい温度は、
プリン:周囲の気温を遮断して、なんだかほどよく冷たいのです。
プリン:「……お前、本当は優しいスライムだったんだな」
プリン:スライムは無言です。
プリン:けれど、なにか、強い意志を感じます。
プリン:愛にも似た、
プリン:恋をしたときのような、
プリン:憧れのスターを目の前にしたときの、
プリン:あふれだして立ちすくむオタク心のような、
プリン:うちに秘めた狂気が充満するような
プリン:そんな特別な高揚感を、スライムから感じました。
プリン:スライムが、ボクの鎧に装備された唯一の弱点を、
プリン:透明のツノのような突起を探り当てます。
プリン:「スライム!
プリン: お前!それだけはやめろ!
プリン: ダメだって!スライム!
プリン: だめ!そこはダメなの!
プリン: そこ!ダメだって言ってるだろ!
プリン: それやったら!出ちゃうから!
プリン: ダメだって!ダメだって!
プリン: ダメなんだって!言ってるだろ!!
プリン: ……あっ…んっ」
プリン:プチっ!
プリン:という音を立てて、
プリン:鎧とボクの間に空気が流れ込んできます。
プリン:後戻りできない何かを、感じます。
プリン:スライムは、その体をうまく使って、
プリン:ボクの鎧をゆっくりと持ち上げました。
プリン:ボクは疲労困憊で動くことができません。
プリン:荒野の風が心地良く吹き抜けます。
プリン:ボクは敗北し、鎧を奪われ無防備でした。
プリン:空からコウモリの魔物が超高速で降りてきます。
プリン:ボクは、覚悟しました。
プリン:ここで、ボクの冒険は終わりだと。
プリン:しかし、
プリン:コウモリの魔物は、
プリン:真っ赤な木の実をゆっくりとボクの上に、
プリン:トッピングしてくれました。
プリン:スライムは、うれしそうにボクの下で平たく広がりました。
プリン:ガラスの器のような美しさです。
プリン:コウモリも嬉しそうです。
プリン:スライムの思念が流れ込んできます。
プリン:『プリン・ア・ラ・モード』
プリン:「スライム、お前……」
プリン:ボクの夢が叶った瞬間でした……
プリン:じゃねぇんだよ!
プリン:初日!
プリン:今日1日目!
プリン:荒野で『プリン・ア・ラ・モード』になってもしょーがねーだろ!!!
プリン:コウモリも嬉しそうに羽ばたいています。
プリン:スライムが嬉しそうにその体を使って、拍手しました。
プリン:「スライム、てめぇ、やっぱりあれだろ!
プリン: プチンってしたかっただけじゃねぇか!!」


*** おしまい ***

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