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「御台本」にて、声劇用シナリオ掲載しています。もしよかったら、ご利用ください。#御台本
— koegeki.com (@koegekicom) 2023年3月26日
御台本 Written by odahttps://oda.koegeki.com
【登場人物】 | 【●性別】 | 【登場人物の概要】 |
---|---|---|
茜 | ●女性 | 田村茜(たむらあかね)。大学2年生。信也には、茜姉(あかねぇ)と呼ばれている。ふと、自分の心の変化に気づいてしまった。 |
信也 | ●男性 | 高橋信也(たかはししんや)。大学1年生。言い出せない憧れを抱えている。 |
●茜:お・そ・い。
●信也:あ、居た。
●茜:あのねぇ、「あ、居た」じゃなくて。
●信也:ちっせぇから見逃すところだった。
●茜:うっさい。
●茜:あのねぇ。
●信也:あか姉ぇ待った?
●茜:待ってた。
●信也:なんで?
●茜:なんで?じゃないわよ。
●茜:バイト23時に終わるって言うから、
●茜:その時間に合わせて駅まで出てきてやったってのに。
●信也:俺、真琴先輩ん家わかるよ?
●茜:(ため息)
●茜:アンタはさぁ、
●信也:ん?
●茜:あーあ、そーゆーとこよ?そーゆーとこ。
●信也:そーゆーとこ?
●茜:けろっとした顔しやがって。
●茜:あーうざ。
●信也:いこうよ。
●信也:あ、こっちの袋持って。
●茜:なんで?
●信也:そのために駅まで来てくれたんじゃないの?
●茜:女子に持たせる気?
●信也:はい、こっち。
●茜:は?
●信也:重いほう。
●信也:ペットボトルがね、
●信也:2リットル4本と、
●信也:ビールと、チューハイとかの追加分。
●茜:アタシをなんだと思ってるわけ?
●信也:あはは。
●信也:冗談だよ。
●信也:えっとね、
●信也:あか姉ぇにはね、はい、
●信也:どうぶつビスケット。
●茜:(怒って)んあ?
●信也:あー、喜んでる喜んでる。
●茜:(怒って)むぅ。
●信也:そんな上目づかいで喜ぶなよ。
●茜:子ども扱いすんなし。
●信也:もう、しかたないなぁ。
●信也:きっとそう言うと思って、
●信也:はい、こっちもどうぞ。
●茜:(喜んで)え?マジ!
●信也:どうぶつビスケット、
●信也:期間限定!
●信也:発酵バター風味!
●茜:(嬉しそうに)うわぁぁぁあ!
●信也:どう?
●茜:両方くれるの?
●信也:うん。
●茜:いや、これはうれしい。
●信也:だと思った。
●信也:だからね、
●茜:うん。
●信也:右手に、ピンク色の普通の味持って。
●茜:うん。
●信也:左手に、金色の発酵バター味持って。
●茜:……うん。
●信也:他の買い出しは俺持つから。
●茜:……
●信也:似合うわぁ。
●茜:……
●信也:いけるいける!
●信也:まだ、小学生って言ってもばれないって。
●茜:うるせぇ!
●信也:ダメだって暴れちゃ。
●茜:うるせぇぞ!
●信也:あかねちゃーん、公共の場ですからねぇ~。
●茜:てめぇぶっ殺すぞ。
●信也:じゃあ、ビスケットいらないってこと?
●茜:……むぅ。
●信也:いるの?
●茜:欲しい。
●信也:じゃあ、はい、ちゃんと言って?
●茜:な、なにを?
●信也:「どうぶつビスケット、欲しいです」って
●茜:ヤダ。
●信也:じゃあ、俺が食うから没収。
●茜:やーだ!
●信也:じゃあ、ちゃんと言ってみ?
●茜:ヤダ。
●信也:ふはははっは
●茜:なに笑ってんだよ!
●信也:イヤイヤ期かよ。
●茜:ちがうもん。
●信也:ほら、どうぶつビスケットこっちの袋に入れて。
●茜:とらない?
●信也:とらないよ。
●茜:ちゃんとアタシの?これ?
●信也:いいから入れて。
●信也:こっちのお菓子ばっかりの軽いほう持って、かさばるから。
●茜:うん。
●信也:ほら、行こう。
●茜:いっぱい買ってきたね。
●信也:店長に言ったらさ、
●信也:「おうおう、先輩卒業か。
●信也: 値引いてやるから、レジで呼べ
●信也: せっかくの追いコンだからな」って。
●茜:追いコン?
●信也:追い出しコンパ。の略らしい。
●信也:レジ打ちながらさ、
●信也:「俺が大学生の頃はな~」って。
●茜:あ~、なるほど、
●茜:店長の長話を耐えた報酬ってことね。
●信也:うん。
●信也:あと、肉部門のチーフから、
●信也:良いお肉を安くもらってきた。
●茜:さすが!
●茜:やるじゃん!買い出し担当!
●信也:まぁね。
●信也:スーパーのバイトで良かったって思った。
●茜:うん。
●信也:どうぶつビスケットも買えたし。
●茜:ありがと、信也。
●信也:どうしたの?
●信也:めずらしく、素直じゃん?
●茜:うっさい。
●信也:どうぶつビスケットすげぇな。
●茜:そーやってすぐ子ども扱いする!
●信也:えー、こどもじゃん?
●茜:もうすぐハタチだもん。
●茜:1個上の先輩なんだから少しはうやまえ!
●信也:え?あーそうだっけ?
●茜:クソ信也のくせに
●信也:だって、3月生まれでしょ?
●信也:俺、4月生まれだし。
●茜:うるせーぞ信也!
●信也:1ケ月、いや、20日くらいしかちがわないじゃん?
●茜:それでもな!
●茜:この3月と4月には、
●茜:おおきなおおきなおーーーーきな、
●茜:差があるのだよ。ふんっ!
●信也:ちいさいのがなんか言ってる。
●茜:んもーーーー!
●信也:お菓子の袋振り回すなって!
●茜:んもーーーー!信也のバカぁ!
●信也:どうぶつ割れちゃうよ!
●茜:あ、そうだった。
●信也:あーあ、キリンさんの首が!
●茜:むぅ
●信也:あーあ、ぞうさんのお鼻が!
●茜:むぅ
●信也:ゴリラさんのアレが!
●茜:アレってなによ?
●信也:オスのオス?
●茜:バカ言ってんな!
●信也:え?わからないならちゃんと言ったほうがいい?
●信也:ぺ?
●茜:てめぇ、パワハラで訴えるぞ!
●信也:パワハラじゃねぇよ。
●茜:うるせぇ、セクハラだからな!
●茜:それ以上言うなよ!
●信也:ふははははは
●信也:なんでそーゆーとこだけ、
●信也:センシティブに弱いんだよ。
●茜:うるせぇ!
●茜:こっちは、その、あの、あれだ!
●茜:諸事情考慮してやってんだよ!
●茜:んったく、
●茜:信也はそーゆーとこ、
●茜:ホント気が利かないっていうか、
●信也:あぁ、ごめんごめん、
●茜:もう。
●信也:乙女だったね、あか姉ぇ。
●茜:そーだぞ!
●茜:ちゃんと配慮しろ、配慮を。
●信也:はいはい。
●信也:あ、ちょっと待って。
●茜:ちょっと、どうしたの?
●信也:自販機。
●茜:このあと飲むんだよ?
●信也:待ってって。
●茜:もー、早く行こうよ。
●信也:はい、あったかいの。
●茜:は?
●信也:はい、ポケット入れて、
●信也:あったかいから。
●茜:あ、ありがとう。
●信也:お茶なら飲むでしょ?
●茜:なんかごめん。
●信也:いや、待たせたから。
●茜:ありがと。
●信也:さ、行こう。
●茜:うん。
●信也:真琴先輩ん家で待ってればいいのに。
●茜:アンタ、知らないからそーゆーこと言えるんだよ。
●信也:なにを?
●茜:真琴先輩と、山岡ゴリラ。
●信也:あぁ。
●茜:知ってたの?
●信也:仲良いし。つきあってたんでしょ?
●茜:ん~、付き合ってないけど、
●茜:そーゆー関係だったことがあるって。
●信也:そーゆー関係って?
●茜:そーゆー関係は、そーゆー関係よ。
●信也:そーゆー関係って?
●茜:だから、そーゆー関係は、
●茜:そーゆー関係ってこと。
●信也:そーゆー関係って?
●茜:しばくぞ。
●信也:あ~、なるほど、
●信也:しばく、しばかれるの、
●信也:そーゆー関係。
●茜:ちがうから。
●信也:あか姉ぇはなんでも知ってるね。
●茜:てめぇ、うるせぇな。
●信也:そっか。やっぱり、そっか。
●茜:知らなかった?
●信也:別に、過去がどうとか、
●信也:そういうのは興味ない。
●信也:今も、先輩たちは仲良いし。
●茜:なんとも思わないの?
●信也:なんともって?
●茜:「なんとも」は「なんとも」。
●信也:ん~。
●茜:そういうこと考えないの?
●信也:あか姉ぇは、考えるの?
●茜:そりゃ、まぁ。
●信也:好きなら好きって言えばいいじゃん。
●茜:それは!
●茜:………そうかもしれないけどさぁ。
●茜:だって、山岡ゴリラ、
●茜:ずーっと、真琴先輩のこと好きなんだもん。
●茜:うぜぇもん。
●信也:うざいのは、真琴先輩が?
●茜:ちがくて、
●茜:山岡ゴリラが、ずっと、もやもやしてるくせに、
●茜:別の女に手だしたりして、
●茜:なんか、ぐずぐずしてるのが!ってこと。
●茜:はっきりしろや!くそゴリラ!
●信也:なんで?
●茜:そりゃだって、
●茜:はっきり告白して、真琴先輩にフられて、
●茜:先に、忘れてもらわないと、
●茜:もし、アタシが告白して、
●茜:付き合えたとしても、
●茜:ずっと、モヤモヤしっぱなしで居られたら、
●茜:アタシ、永遠の二番手じゃん。
●信也:あ~。
●茜:そんなの嫌だし、
●茜:うざくね?
●信也:うざいね。
●茜:ゴリラはゴリラで良い人だけど。
●信也:うん。
●茜:こっちまでモヤモヤしてくるから、
●茜:なんか、もう、さっさと卒業しろよ!って思う。
●信也:……。
●茜:卒業していなくなれば、
●茜:アタシだって、踏ん切り着くのにさ。
●信也:どこが好きなの?
●茜:え?
●信也:山岡先輩の?
●信也:どこが好きなの?
●茜:え?
●信也:いやいや、「え?」ってなに?
●茜:え?……なんとなく。
●信也:なんとなく?
●茜:いや、待って。
●茜:待って待って待って。
●信也:どうしたの?
●茜:いや、待って。なんでもない。
●信也:あか姉ぇ?
●茜:えーー、うざい。
●信也:は?
●茜:アタシさ?
●信也:うん?
●茜:なんでゴリラのこと好きなの?
●信也:いや、知らんし、
●信也:俺にきくなよ。
●茜:え?
●茜:いや、待って。
●信也:待ってるよ。
●茜:整理するから待って。
●信也:うん、とりあえずまだ着かないから、
●信也:歩きながら整理してもろて。
●茜:うん。
●信也:あ、そうそう、知ってたら聞きたいんだけどさ。
●茜:うん。
●信也:なんで、「山岡たけし」だったの?
●茜:あぁ、本名「山岡こうじ」なのにってこと?
●信也:うん。
●茜:文字間違えたらしいよ。
●信也:え?
●茜:なんか、別のサークルが進行表つくったときに、
●茜:「山岡たけし」って書いてたらしいのよ。
●茜:配布物ももう、500部以上印刷してあってさ。
●信也:うん。
●茜:それで、その日はっていうか、
●茜:まぁ、さらっと「山岡たけし」で1日やったらしいのさ。
●信也:うん。
●茜:訂正するのも面倒というか、相手に言い出せなくて。
●信也:あぁ、
●茜:「名乗るの最初の挨拶だけだし」って。
●茜:そーゆーとこ、アイツ、
●茜:ゴリラなのに繊細でさ。
●信也:うん、山岡先輩らしいけど。
●茜:んで、ああいう司会?っぽいことうまいから
●茜:呼ばれるたびに、「山岡たけし」って書かれてたらしくて
●茜:まぁ、タレントじゃないから、
●茜:クチ伝えで、そういうアレがいくじゃん?
●信也:そうだね。
●茜:誰も疑わないじゃん?
●茜:「ひらがなで良いんですかね?」
●茜:まぁ、本名はそもそもちがいますけど、
●茜:「たけし、ってひらがなでいいですよ」って。
●信也:あ~、言いそう。
●茜:だから、芸名みたいな感じで使ってるんだって。
●信也:あ~、なるほど。
●茜:まぁ、本名より、芸名みたいなのがあったほうが、
●茜:言うても、ちょっとうまい素人学生だから。
●信也:まぁね。
●茜:本人も、なんだかんだ気に入ってるって言ってた。
●茜:偶然出会った名前って。
●信也:へぇ~。
●信也:そういうぬるい感じとか好きなの?
●茜:は?
●信也:ゴリラ先輩の、
●信也:ゆるーく「まぁいいか」みたいなトコとか。
●茜:いや、嫌い。
●茜:だって、ちがうならちがうって言えばいいじゃん?
●茜:ハッキリさ、山岡たけしじゃなくて、
●茜:山岡浩司(こうじ)です。って。
●茜:なにが、印刷してあったからとか、
●茜:言われるがままに流されてとか、
●茜:偶然もらった名前だから、とか。
●茜:あーーー、うぜぇ!!
●茜:って感じ。
●信也:……はぁ。
●茜:うん。
●茜:ねぇ?信也?
●信也:なに?
●茜:どこが好きなんだと思う?
●信也:ん?
●茜:だから、アタシが、山岡ゴリラのどこを好きなんだと思う?
●信也:知らんし。わかんないって。
●茜:いや、あのアレ。
●信也:なに?
●茜:信也から見て、アタシが山岡ゴリラのこと好きそうなトコ。
●信也:えーーー、ムズイ。
●茜:教えて!
●信也:俺から見てってこと?
●茜:うん。
●信也:えー、ゴリラだからじゃね?
●茜:は?
●信也:あか姉ぇもさ、中身ゴリラじゃん?
●茜:は?
●信也:表面は、小柄で、センスも良いから、
●信也:スカートとかかわいい感じにまとめてるし、
●茜:うるせぇよ?
●信也:「しゃべる前までは好きでした」みたいな、
●茜:あぁ、夏にね。
●信也:そんな感じの他校の男子いたじゃん?
●茜:まぁ、確かに。
●信也:っていうか、
●信也:あか姉ぇの中身ゴリラじゃん?
●茜:おい?
●信也:俺ら会話してたら、
●信也:他校の人とか、ビビッてたりするじゃん?
●茜:あ、まぁ、そうね。
●信也:ゴリゴリのゴリだから、
●茜:おい?
●信也:だから、俺から見たら、
●信也:ゴリラが、ゴリラになついてるっていう感じ?
●茜:おい。
●信也:あ、ごめん、正しくは、
●信也:ゴリラ・ゴリラ・ゴリラが、
●信也:ゴリラ・ゴリラ・ゴリラに、
●信也:ゴリラ・ゴリラ・ゴリラしてるって感じ?かな?
●茜:学名で言うなし、
●茜:なんだよ、ゴリラ・ゴリラ・ゴリラしてるって。
●信也:ニュアンスわかんない?
●茜:ニュアンスはわかるから、うぜぇって言ってんの。
●信也:伝わってんじゃん。
●茜:同類ってニュアンスはね、
●茜:確かにそうかもな~って、思った。
●茜:あーあ、アイデアマン高橋うぜぇ。
●信也:聞いてきたのそっちじゃん。
●茜:うん。
●茜:妙に腑に落ちたっていうか、
●茜:あー確かにそんな感じ。って思った、今。
●信也:わかったんならそれじゃん?
●茜:かもね~。
●茜:ゴリラが、ゴリラに、
●茜:ゴリラ・ゴリラ・ゴリラしてただけか~。
●茜:もう、いっかな~。
●茜:あのゴリラ卒業するし。
●茜:アタシも卒業しよーかなー。
●信也:いいの?
●茜:いいの?って?
●信也:思いを伝えるとか、
●信也:今晩の呑み会でやります?
●茜:あー、そーゆーんじゃないから。
●信也:ん。わかった。
●茜:なに?把握したの?
●信也:なんもしなくていいんでしょ?
●茜:うん。
●信也:手伝う必要があるときは、
●信也:俺が忙しいとかおかまいなしに、
●信也:手伝ってっていうじゃん?
●茜:うん、まぁ、そうね。
●信也:だから、別に、いいんだ。って思っただけ。
●茜:ありがと。
●信也:いや、ふつーじゃん。
●茜:いいの、ありがと。
●信也:ん。
●信也:あ、あそこ、ベランダでタバコ吸ってんのかな?
●茜:1、2、3、4、5、6……あぁ、
●茜:あそこ真琴先輩ん家のベランダっぽいね。
●信也:ふたりいるね、
●茜:良く見えるね。
●信也:あか姉ぇもコンタクトの時なら見えるよ。
●茜:メガネにしなきゃよかったかな。
●信也:ちょっと電話してみる。
●茜:いいじゃん、上がろうよ。
●信也:今日で終わりだから。
●茜:え?
●信也:(電話をかける)
●信也:もしもし?真琴先輩?
●信也:ふたりでタバコ吸ってる?ベランダで、
●信也:ベランダにいる?
●信也:下見てよ?
●信也:うん、下。
●信也:今、ついたー。
●信也:あか姉ぇ、手振って、あそこ、
●茜:あ、あれやっぱりそうだったんだ。
●信也:うん、わかった。
●信也:(電話をきる)
●茜:手振ってる。
●信也:見えてるのかな?
●茜:真っ暗。
●信也:あ、山岡先輩も手振ってる。
●茜:タバコの赤いのちらちらみえるね。
●茜:(信也にだけ聞こえるように)
●茜:バイバーイ。って感じ。
●茜:せんぱーい、ありがとうございました~。
●信也:(茜にだけ聞こえるように)
●信也:ばいばーい。
●信也:卒業おめでとー。
●茜:それ、アタシに言ってるでしょ。
●信也:あ、ばれた?
●茜:あのさー、
●茜:そーゆーとこずるいよ。
●信也:気づくのあか姉ぇじゃん?
●茜:追い出しコンパかぁ。
●茜:うまいこと言うね、
●茜:追い出しちゃうんだもんね。
●茜:さっさと卒業しやがれって。
●信也:気に入った?
●茜:そのとおりだもん。
●茜:これも、失恋なのかな?
●信也:あか姉ぇの卒業式って感じなら
●信也:それは、それでいいんじゃないの?
●茜:うぜぇ、こいつ。
●信也:なんで?
●茜:だって、
●茜:んあーー、もう、
●茜:はいりこんでくんな。
●信也:なに?
●茜:信也がうぜぇって話。
●信也:はいはい、うぜぇっすよ、うぜぇっす。
●茜:信也はどうするの?
●信也:どうするって?
●茜:真琴先輩のこと、好きなんでしょ?
●信也:うん。
●信也:ちゃんとさ、
●信也:「好きだった」んだと思う。
●茜:……信也?
●信也:大学生になってさ、
●信也:俺が1年生で、真琴先輩が4年生で、
●信也:この一年間だけでも、
●信也:近くに居られて、
●信也:いいなぁって思えて、
●信也:サークルも楽しくて。
●信也:それでいいんだと思った。
●茜:……なにそれ。
●信也:なにそれって?
●茜:……軽やかに言いやがって。
●信也:追い出しコンパだよ、今日が。
●茜:うわーーーー、寒っ。
●信也:上がるか。
●茜:信也はさ、心の中から追い出せんの?
●茜:真琴先輩のこと。
●信也:ん~、わかんないけど、
●信也:恋人同士になる現実のほうが想像できない。
●信也:っていうか、
●信也:みんなで一緒に呑んで、さわいで、
●信也:笑ってってのができなくなることのほうが、
●信也:心の中で大きく占めてる気がする。
●茜:そっか。
●信也:「憧れ」っていう言葉は、
●信也:こういうときに使うのかなって思ったりしてる。
●茜:あんたはさ、言葉がたくみだね。
●茜:こっちは正体がわからなくて、
●茜:言葉にできないまんま、
●茜:モヤモヤしっぱなしなのに。
●信也:3月の卒業式終わって、見送って、
●信也:真琴先輩もここから引っ越して、
●信也:社宅に入るって言ってたし。
●信也:ここに来ることが無くなったら、
●信也:ちゃんと思い出になるんだと思う。
●信也:そんな感じかな。
●茜:はぁ~、そうですか。
●信也:あか姉ぇはどう思う?
●茜:どう思うって…。
●茜:アタシは、
●茜:アンタのさ、
●茜:アンタのはく言葉が、
●茜:言葉がどかーんって響くんだけど
●茜:どうしたらいいわけ?
●茜:どんな顔して、上にあがればいいんだろ。
●信也:アレだよ、
●茜:ん?
●信也:笑えばいいと思うよ。
●茜:うぜぇーーーー!
●信也:ゴリラはゴリラなりに、
●信也:笑えばいいと思うよ。
●茜:うっせーぞ。
●茜:バーカ。
●茜:よし、真琴先輩んとこいくよ。
●信也:うん、ゴリラ先輩トコ行こう。
●茜:608っと、
●茜:真琴せんぱーい!
●茜:オートロックあーけーてー!
●信也:あいたあいた。
●信也:エレベーター呼ぶの押して。
●茜:うん。
●茜:ねぇ、信也?
●信也:なに?
●茜:3月のアタシの誕生日さ、
●茜:うちで、一緒にケーキ食べない?
●信也:あーいいね。
●茜:今んとこ、アンタだけだから。
●信也:誘えるヤツ?
●茜:ううん、誘いたいヤツ。
●信也:わかった、あけとく。
●茜:うん。あ、エレベーター来た。
●茜:6階っと。
●茜:あともうちょい、荷物重いけどがんばれ。
●信也:うん。
●茜:扉閉めるよ~。
●信也:(エレベーターの扉が閉まる)
●信也:(エレベーターが上昇していく)
●信也:うん。
●信也:あー腹減った。
●信也:歩いてここまで来るだけで、結構冷えたね。大丈夫?
●茜:うん、大丈夫。
●茜:ポケットのあったかいお茶、大活躍。
●信也:よかった。
●茜:(エレベーターが6階に到着)
●茜:(扉が開く)
●茜:扉開けとく、先出て。
●信也:うん、ありがと。
●茜:あ、そうだ。
●茜:ねぇ?信也?
●茜:4月も、信也にケーキつくってあげよーか?
(エレベーターの扉が閉まる)
*** おわり。***
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