御台本 - Written by oda

あらすじ

海を眺めて願うこと

＊波打ち際で会話をするふたり

●Ａ：わりいな、
●Ｂ：いや、気にしないでぜんぜん暇だったし
●Ａ：遠浅の海って、相変わらず絵になるよな
●Ｂ：お昼前はこのあたりもぜーんぶ海の中だったのに、波打ち際があーんな遠くまでいっちゃってるね
●Ａ：俺、もっと大きくなりたいんだよ、
●Ｂ：だったらいっぱいご飯食べて、いっぱい
●Ａ：いや、そうじゃなくてさ、なんていうか、こう、さ。ごめん
●Ｂ：いいよ、大丈夫
●Ａ：うまく言えなくて、なんていうか、その
●Ｂ：うん、
●Ａ：もっとこう、心の広いっつーかさ
●Ｂ：うつわ？
●Ａ：そう、それだよ！
●Ｂ：大丈夫だよ、それも時間が解決してくれる。悩むことじゃないよ。きっとね
●Ａ：だけどさ、
●Ｂ：いい？　もっと遠くを見ながら生きていけば良いんじゃないかな？
●Ａ：とおく？
●Ｂ：そう、遠くを眺めてっていうか、遠くをみつめて、生きていく。ね？
●Ａ：そう言われても……
●Ｂ：ねぇ、見てごらんよ？　だって、今日の夕焼けのこんなにきれいなんだよ？　昨日もきれいで、たぶん明日もきれい
●Ａ：でも、明後日はわかんないぜ？　雨の日だってある
●Ｂ：そうかもしれないけど、やまない雨は無いんだよ、いつか雲の切れ間からおひさまが顔を出して、また、今日みたいにとってもきれいな夕焼け色に染まったおおきな空になる
●Ａ：どうしてそんなふうに思えるんだよ？うらやましいよ
●Ｂ：殻に閉じこもるのをやめてみたら？
●Ａ：殻に閉じこもるのを？でも……
●Ｂ：生きていく方法とかそういうのってそれぞれ違うし、正解なんてない。だけど、気持ちの持ち方ひとつで世界の見え方って変わると思うんだ
●Ａ：うまくできる気がしないよ
●Ｂ：大丈夫。うまくやる必要なんてない。うまくやろうって思うから、余計自分が苦しくなっちゃうんだよ
●Ａ：ホントそんな感じだよ。バカだな、自分で自分の殻に閉じこもってさ
●Ｂ：そういうのって、癖になっちゃってるし、君の場合は習性みたいなもんだから、まずは、それもアリって思ってあげることかな
●Ａ：それもアリ。か
●Ｂ：そう。それもアリ。だけど、もっと大きくなりたいんだって気持ちは素直に持って良いと思うんだよ
●Ａ：素直に？
●Ｂ：そう。例えば、あ、あそこ、一番星。もう輝いてる
●Ａ：あ、ホントだ
●Ｂ：あ、あっちにも
●Ａ：あ、こっちにもあるぜ
●Ｂ：星って、またたき方が違うでしょ？　同じはずが無いんだよ。だって、それが個性なんだから
●Ａ：個性、か
●Ｂ：僕と君だって違うように、世界はちがうものであふれてる。だって、当然でしょ？育った環境も、自分自身の成長のしかただって、それぞれみんな違うんだから
●Ａ：違ってていいんだよな
●Ｂ：だからこそ、自分は自分自身のことを、一度認めてあげないと。自分のために細胞のひとつひとつが頑張ってくれてるんだから
●Ａ：そうだよな
●Ｂ：そう。君だって、一度、その背負った殻のこと、閉じこもっちゃうのが不安かもしれないけど、だけど、その殻のことだって認めてあげようよ。全部抜け出して、全部放り投げて、なんて無理しなくたっていいよ
●Ａ：そう、だよな
●Ｂ：その上で、自分がどんな自分になりたいかって希望は、自分自身で叶えながら生きていけばいいんじゃないかな
●Ａ：自分の希望を叶えていけばいいんだよな
●Ｂ：僕だって、あの星みたいになりたいって願ってる、
●Ａ：俺からしたら雲の上の存在だよ、輝いてる
●Ｂ：ありがと、でも叶わないってバカにするやつもいるよ。叶いっこないって。だけど。僕は精一杯手を伸ばして掴みたいんだ。精一杯！目一杯！あの星にはなれないのはわかってるけど、あの星みたいになれたらいいなって願ってる。誰かに星みたいだねって認められなくたっていい、自分自身が満足できる瞬間がくるまで、そのときまで、目一杯生きてやろうって決めたんだ
●Ａ：ステキだよ
●Ｂ：そういうふうに自分に向き合うことでいいんじゃないかな？僕はそう思ってる
●Ａ：そうだよな
●Ｂ：どう？　元気でた
●Ａ：うん、元気でたよ、ありがと
●Ｂ：明日は、きれいな夕焼けがみれるといいね
●Ａ：きっと、きれいな夕焼け空見られそうだな
●Ｂ：そう、その調子だよ
●Ａ：あぁ、自分らしい輝き方をさがすよ！ありがとう！ひとでさん！
●Ｂ：どういたしまして、しじみくん

●Ａ：『海を眺めて願うこと』
●Ａ：キャスト
●Ｂ：ひとで、（演じたひとの名前）。
●Ａ：しじみ、（演じたひとの名前）。以上でお送りしました

●Ａ：ひとでさん！俺、あさりくらいのでっかい貝になってやるよ！
●Ｂ：良い目標だけど、潮干狩りされないように気をつけてね！

＊＊＊　おしまい　＊＊＊

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