御台本

御台本 - Written by oda

あきらめられない思いの先に
【登場人物】 【●性別】 【登場人物の概要】
女性 なお。29歳。
男性 しょう。社会人4年目。

あらすじ

同僚の翔と尚。後輩と先輩。
先に恋をしていたのは?

あきらめられない思いの先に

翔:せんぱーい、すいません、遅くなっちゃって。
尚:ううん、ぜんぜん。走って来たの?
翔:地下鉄から上がる階段間違えちゃって、あっちから上がったんですけど、
翔:信号点滅してたから、走ってきました。
尚:よくわかったね。
翔:うん、すぐわかりましたよ。
翔:先輩の髪型が、いつもより気合入ってるから。
尚:うっさいうっさい。
尚:ここのデパート行ってとりあえず見てみる?
翔:そうですね。
翔:あ、あと、
尚:なに?
翔:高木課長と、西村課長と、高畠主任から、お金預かってます。
尚:あぁ、言ってたね。
翔:あ、あれ?どこやったかな。
尚:え?ウソでしょ?
翔:封筒、あれ?
尚:落としたりしてないよね?
翔:あれ?
翔:あ、あったあった、こっちのポケットだった。
尚:もー、びっくりさせないでよ。
翔:びっくりしました?
尚:もー、やめてよ、今日は。そういうのいつもいつも。
翔:エスカレーターで行きます?エレベーター?
尚:何階だっけ?
翔:あ、ここに案内ありますよ?
翔:えっと?贈りもの、とかおめでたい時のああいうの。なんていうんだっけ?
尚:あ、ギフトサロン、商品券サロンとかあるから、
尚:この階かな?
翔:6階ですかね。
尚:とりあえず、エレベーターそこだから
尚:上がって聞いてみよ?
翔:そうですね。
尚:あ、ちょうど、エレベーター来てる来てる。
翔:橋本係長と藤本さん結婚するとは思わなかったなぁ。
尚:そう?
翔:はい。だって、あそこ、なーんもなさそうに仕事してたし。
翔:寝耳に水ですよ。
尚:え?みんな知ってたわよ?
翔:え?そうなんっすか?
尚:もう、4年くらい前じゃない?
翔:4年も付き合ってたんすか?
尚:よりを戻してからね。
翔:その前からってことっすか?
尚:やっとよ、やっと。
翔:4年前かぁ。
尚:4年前って言ったら、そっか、翔くん新卒採用で入って来たばっかりだもんね。
翔:あぁ、だからわからなかったのか。
尚:あ、あそこ、ギフトコーナーあった。
尚:5人分だけでいいんだっけ?
翔:高木課長、西村課長、高畠主任、なお先輩、自分の5人分です。
翔:高木課長と西村課長は1万5千円で、高畠主任は7ですね。
尚:じゃあ、店員さんに金額伝えて、聞いてみれば大丈夫よ。
翔:そうっすね。
尚:(店員さんに呼びかけて)すいませーん、


【買い物を終えてデパートを出るふたり】
翔:はぁ~~~。よかった。
尚:どうしたの?
翔:30分で用事が終わるとか、
尚:そんなもんじゃない?
翔:やっぱ、なお先輩すごいっす。
尚:何回かこういうの経験するとわかるわよ。
尚:ぜーんぶお願いしたら、デパートからちょうどいい日に届けてくれるし。
翔:便利っすね。
尚:まぁ、そういう商売を昔からされてますから。
翔:どうします?
尚:ん~、お昼には早いわよね。
翔:ちょっと、休憩しません?
尚:いいわよ。どこか行きたいところある?
翔:あぁ、あっちに、おしゃれなカフェがあるんですけど、
尚:うん、教えて?
翔:あっちです。

【カフェ(個室あり)にて】
尚:へぇ~。
翔:(店員と対応中)2人です。来たことあります。24番ですね。
翔:先輩、こっち。
尚:なんかおもしろいね、ここ。
翔:そうなんっすよ、もともとカラオケボックスのお店だったのを、居酒屋にしたらしいんですけど、
翔:2年前くらいかな?改装してこんな感じになったって。
尚:あぁ、だから個室ばっかりなのね。誰かと来たの?
翔:うん、大学のころの同期と何回か。
翔:ここ、横並びの席なんで、先輩、先どうぞ。
尚:あ、ありがと。
翔:ソファやわらかいんで、
尚:ッあ!びっくりしたー。ははは
翔:気を付けてくださいって、遅かったか。
尚:気を付けます。あはは
翔:メニューはそっちの、タブレットから選んでくださいって。
尚:へぇ~。
翔:寒くないですか?
尚:ううん、大丈夫。何飲もうかなぁ。
翔:なにあります?
尚:ノンアルコールとか、コーヒーもジュースもあるよ?
翔:ん~。
尚:私、カフェオレにしよう、冷たいの。
尚:翔くんはオレンジジュースかな?はい、どうぞ?
翔:なんでキッズメニュー開いて渡すんすか。
翔:カフェオレ、甘いの付けます?
尚:いや、甘くなくていい。
翔:じゃ、同じのにしよう。
尚:(部屋を見渡して)あ~、そうかそうか、
翔:どうしたんですか?
尚:ドアの名残があるからアレだけど、カラオケボックスの少人数席だった感じ、残ってるね。
翔:たぶん、このへんに硬いソファ席が、こう、こう、あって、
尚:カラオケのテレビ画面があっちでしょ?
尚:あの天井の角、スピーカーのネジの跡かな?
翔:っぽいですね。
尚:あ~、でも静かで落ち着くかも。
翔:ですね。
尚:これで、お祝いも準備できたし、鈴木専務に頼まれてた商品券も用意できたし。
翔:よかったですね。
尚:あー、このソファ寝そう。
翔:ヤバいっすね。
尚:あーーーーー。
翔:温泉じゃないんですから、もう、おっさんくさいなぁ。
尚:あーーーーー、もうおっさんです。
翔:ねぇ、先輩?
尚:あーーーーー。
翔:先輩って、思ったより足、綺麗だったんすね。
尚:思ったよりって余計じゃない?
翔:うん、思ったより足、綺麗。
尚:はいはーい、褒めてもなにもでませんよー。
翔:先輩?
尚:なに?
翔:そのピアスどこで買ったんですか?
尚:ベーカリー橋本。
翔:え?会社の前のあのパン屋、アクセサリーも売ってるんですか?
尚:ちがうわよ。
翔:なんでウソついたんですか。
尚:そのぐらいウソってわかるでしょ?
翔:さわっていい?
尚:あのねぇ、
翔:さわっていいっすよね?べつに?
尚:まぁ、べつに……いいけど、
翔:これガラス?
尚:ちょっと。見る目無さすぎ。
翔:ちょっと、首、そっちに傾けてください。
尚:なんで?
翔:ちょっとここだけ暗くて
尚:見えた?
翔:あ~、ルビーですか?
尚:青いはずなんだけどな。
翔:テキトー言いました。
尚:宝石とかではないけど。
翔:高かったんですか?
尚:ぜんぜん。安っいヤツ。
尚:駅ビルの中のお店で、300円とか。私の次のお客さん女子高生だったし。
翔:300円、300円っすか?
尚:残念ながら、両耳で300円。
翔:へぇ~、
尚:開けた穴ふさがるのも嫌だから、つけてるだけ。
尚:ちょっと近くない?
翔:へ~。ピアスってどうなってるんすか?
尚:ちょっと、
翔:耳たぶの裏こうなってんだ。
尚:ちょっと、近い。
翔:へぇ~。ふ~ん。
尚:息かけないで。んっ。
翔:先輩?どうしたんすか?
尚:…なんでもない。
翔:(扉をノックする音)はーい、どうぞー、
翔:先輩、カフェオレ来ましたよ。
翔:はい、以上で、大丈夫です。
翔:はい、両方ともシロップ無しで大丈夫です。はーい。
尚:……。
翔:先輩?
尚:はいはい。
尚:もー、翔のくせに。
翔:どうかしました?
尚:……べつに。
翔:シロップ無しでよかったんですよね?
尚:うん。
翔:ストロー、はい。
尚:ありがと。
翔:こぼさないでくださいよ。
尚:わかってる。
翔:あ、おいしい。
尚:うん。おいしいね。
翔:なお先輩でもああいう顔するんですね。
尚:あー、コーヒーおいしい。
翔:カフェオレですけど。
尚:カフェオレおいしーい。
翔:なお先輩って、意外にかわいいんすね。
尚:……。
翔:うん。
翔:やっぱり、大き目のカフェオレのグラス持って、大人しくしてるの、妙にかわいいっすよ?
尚:妙にとか、意外にとか
翔:うん。フツーではないけど。
尚:フツーではないってなによ?
翔:え?フツーだと思ってたんですか?
尚:フツーですぅ。
翔:いやいやいやいや(笑)
尚:なによぉ、フツーです。
翔:フツーではないですよ。
尚:……なによぉ。
翔:もうちょっとアゴ引いて、グラスをこう、もうちょっとこう、
翔:そうそうそうそう。
尚:……なによこれ。
翔:しー!だまって。
尚:……。
翔:……。
尚:……。
翔:……。
尚:……。
翔:うん。だまってれば、かわいいんすよ。
尚:バーカ。
翔:あはははは、ギャップがすげぇ!
尚:うっさい。
尚:もうっ!
翔:あぶないあぶない、こぼすからっ、こぼすからっ
尚:なんなのよー、
尚:昨日帰る直前に、買い出し頼まれて泣きそうな顔してたから、土曜日、休日返上で、わざわざ、手伝ってあげたのに。
翔:約束あったんですか?
尚:無いけど。
翔:そういう言い訳をして、デートしたかったんだろ?なお?
尚:あーーーーうざーーーっ
翔:あぶないあぶない、こぼすからっ、こぼすからっ
翔:そんな暴れてると、あっ、パンツ見えてますよ。
尚:えっ、うそ。
翔:ウソですよ(笑)
尚:もー、なんかやだー今日も。
翔:あはは。なお先輩たのしい。
尚:はいはい、よかったですね~。
翔:あ、なお先輩?
尚:ん?
翔:これ、この大きいグラスを置くところないのかなぁ?とか思いました?
尚:う、うん。
翔:先輩の奥の壁から、テーブル引き出せるんですよ。
尚:え?どこ?
翔:タブレット置いてるところの、すぐ下。
尚:あ、これ?引っ張るの?
尚:出てこないよ?
翔:え? こっちのテーブルすぐ出てきましたよ?
尚:どうしたらいいの?
翔:ちょっと、いったん、グラスこっちに置きますよ。
尚:うん、お願い。
翔:置いとこ。え、普通に出てこないですか?
尚:んー、ちょっと見てみてよ。
翔:ここの、これですよ?
尚:近いなぁ。
翔:無理言わないでくださいよ。
尚:せまいせまい。
翔:あれ?テーブル出てこないな。ね、なお先輩?
尚:ちょっと、こっち向くな。顔近い。
翔:良い距離っすね?
尚:はやく、テーブル出してよ。
翔:先輩、顔赤いっすよ?
尚:うるさいなー。
翔:先輩?
尚:近いって。
翔:照れてる先輩かわいい。
尚:バカ言ってないで、はやくテーブル出して。
翔:先輩、かわいい。
尚:(にらむ)……。
翔:キスしていい?
尚:今じゃない。
翔:今じゃなかったらいいんですか?
尚:全然テーブル出てこないじゃん。
翔:あ、話そらした。
尚:壊れてるなら店員さんに言う?
翔:あ、それ、一回軽く押してください。
尚:は?
翔:グッて押し込んで、
尚:あ、出てきた。知ってたんでしょ?
翔:ええ、こっちも同じなんで。あ、コーヒー飲みます?
尚:もう、返して私のコーヒー。
翔:あ、どっちだっけ?
尚:置いたの翔でしょ?
翔:どっちがいいっすか?
尚:どっちでもいい。
翔:はい。
尚:あーーもう。なんか暑いっ。
翔:なお先輩?ドキドキした?
尚:しない。近い。あついのに。
翔:なーんだぁ、つまんないなぁ~。
尚:つまんないってなによ。
翔:いや、昨日、昼飯食いながら、刺激がないとかドキドキしたいとか、佐々木のおばちゃんと話してたから
尚:話してたけど、ちがう。こういうんじゃない。
翔:なーーんだ。
尚:あっつ。もう。
翔:顔赤いですよ?照れてるんじゃないですか?
尚:なんで、翔なんかに遊ばれなきゃいけないのよ。もー、むかつく。
翔:あははははは、たのしい!
尚:もー、このソファがダメなのよ、調子にのるから。バカ翔が。
翔:あー、確かに、このソファやばいっすよね。
尚:そうよ、ソファーが悪いの。
翔:横並びとか、なんか、恋人みたいになっちゃいますもんね。
尚:あんた、知ってて来たんでしょ?
翔:まぁ。そうっすね。
尚:ほかの女の子連れてきなさいよ。
翔:えーー、
尚:えーじゃない。あんた、そこそこ見た目は良いんだから。
尚:私じゃなくても喜んでくれるわよ。
翔:ねぇ、なお先輩?
尚:な、なによ。
翔:なお、
尚:……。
翔:俺、なおがいいんだけど。
尚:……。
翔:……。
尚:……。
翔:っていうのどうっすか?
尚:バカ。
翔:いや、感想っすよ、次、ちゃんとした女性を連れてきて、
翔:こういうので、イケるかどうか?!っていう。
尚:(ため息)
尚:はいはい、ドキドキします、ドキドキしますよー。
尚:いけるいける。一般女性の方を、7人でも8人でも。(ため息)
翔:なお先輩、首どうしたんすか?
尚:え?
翔:ここですよ、耳のすぐ下の、
尚:え?なんかあるの?
翔:触りますね。ここに、こう。
尚:んっ、ちょっと。
翔:……。
尚:……。
翔:……。
尚:いつまでさわってんのよ。
尚:もう、なにがあったの?
翔:脈が速いですね~。
尚:うるさいなぁ、
尚:しれっと脈測るな!
翔:いや、めっちゃ早いじゃないっすか。
翔:あはははははは
尚:バカ、うるさい。もーー、疲れた。調子狂う今日。
翔:あはははははは
尚:変な汗かくし。もー。
翔:疲れたんなら場所変えて休憩します?
尚:何言ってんのよ。
翔:なにって?休憩ですよ。
尚:バカじゃないの?
翔:バカじゃないの?って言えるってことは、
翔:「休憩」の意味もわかってるってことでしょ?
尚:ちょっと、だまろうか?
翔:え?なんだと思ったんですか?
翔:カフェにきて、半分くらいカフェオレ飲んで。
翔:『休憩』って? そんなとぼけなくても。
尚:行かないからね。
翔:(小声で)どこに?
尚:うるさい。
翔:(小声で)うるさいって、小声ですよ。
翔:(小声で)俺じゃダメ?
尚:ダメです。
翔:(小声で)1つなら持ってますけど。
尚:だーーーかーーーらーーーー。
翔:何が足りないんですか?
尚:なにもかも!
翔:いやいや具体的に教えてくださいよ?
尚:あれもこれも。
翔:あれもこれもじゃわかんないんすよ?
尚:なんで今日、そんなにからかうの?
翔:好きだからです。
翔:なお先輩のこと。
尚:……いや、……ね、……だから、あのね、
翔:なお先輩のこと、好きだからです。
尚:(深呼吸)冗談はやめておこうね。
翔:いや、冗談とかじゃなくて、
翔:ふつうに、なお先輩のこと好きなんです、俺。
尚:いや、えっと、だからね?
翔:ダメですか?好きになったら?
尚:いや、ダメとかそういうんじゃないじゃん?
翔:彼氏いるんすか?
尚:いないけど、
翔:好きな人いるんすか?
尚:い……ない…けど、
翔:結婚してましたっけ?
尚:独身です。
尚:なんなの?
翔:じゃあ、いいじゃん。
尚:じゃあって…、だからね?
翔:はい。
尚:急に言われてもさ、
翔:はい。
尚:心の準備とかできないじゃん?
翔:あー、なるほどなるほど。
尚:ね?だから、わかって?
翔:はい。
翔:じゃあ、なお先輩、深呼吸して~、ほら。
尚:は?
翔:はい、吸って~
尚:(深呼吸 吸って)
翔:はいて~。
尚:(深呼吸 はく)
翔:吸って~
尚:(深呼吸 吸って)
翔:はい、なお先輩、好きです。
尚:(咳こむ)
尚:ゴホッゴホッゴホッ。
尚:だから、あのねぇ?
翔:今、来るってわかってましたよね?
翔:深呼吸して、準備できてましたよね?
翔:今日、2回目ですよ?
翔:なお先輩、好きです。付き合ってください。
尚:いや、あのね、だから。
翔:3回目。大事なことなので3回言いました。
尚:どうされたいの?
翔:どうって?
尚:一回だけでいいの?
翔:一回?
尚:それとも、ずっと?
翔:え?なにがですか?
尚:なにがですか?って。
翔:一回って一回ですか?
尚:デートの話ね?
翔:あぁ、びっくりした。
尚:付き合ってくださいって言うから。
尚:一回のデートだけでいいんですか?
尚:それとも、ずっと、
尚:デートできる関係が良いんですか?
尚:って聞いてる。
翔:……えっと……
尚:付き合う前に、お試しデートして、会社では一緒に仕事してるけど、
尚:休日の私は知らないわけでしょ?
尚:今日だってどっちかって言ったら、意識は仕事モードだし。
翔:……そうっすねぇ。
尚:どうするの?
翔:……
尚:はい、指導1(イチ)。
翔:え?
尚:そこは、間を置かずに、「先輩、ずっとです」って言うとこ。
翔:あ、はい。
尚:はい、言って?一回?それとも、ずっとデートできる関係が良いんですか?
翔:はい、なお先輩、ずっとが良いです。
尚:そうそう、迷う必要ないでしょ?そこ。
尚:好きなんでしょ?
翔:好きです、けど、いや、先輩のクチから、
翔:一回って言われて、ちょっとびっくりしたっていうか
翔:今日、一個しか持ってないけど、俺、ガマンできるかなぁって思って。
尚:バカ。そんなのアレじゃない(いいかけてやめる)
尚:……なんでもない。
翔:あ、そっか。
尚:そっかじゃないのよ。気づくなバカ。
翔:えっと、手堅くいくとしたら、一回デートしてみて、
翔:今日みたいに、仕事モードじゃない、なお先輩と、って思うんですけど、
翔:でも、やっぱ、好きなんですよね。
翔:どうしたらいいんすかね?
尚:はい、指導2(に)。
翔:あ、すいません。
尚:職場モードを出させるな。
翔:あ、はい。
尚:先輩教えてください、じゃないのよ。
翔:すいません。
尚:どうすんの?
翔:そうですねぇ、
尚:結婚を前提にお付き合いしてくださいって、言えばいいんじゃないの?
尚:私もそろそろいい歳なんだし。
翔:そうですね。いい歳ですね。
尚:は?
翔:(叩かれる)痛っ。
尚:ホントにさ?からかってるだけでしょ?怒るよ?
翔:あ~、やっぱいいっすね。
尚:なに?
翔:なんか、いつもの先輩に戻った。
尚:どういうこと?
翔:いや、照れてて、心臓バクバク言ってる、なお先輩もかわいいんですけど、
尚:……。
翔:いつもの、そうやって、
翔:ビシバシ言ってる、なお先輩も好きなんですよ。
尚:……あのねぇ。
翔:なお先輩、決めました!
尚:なに?
翔:今日から一年間、俺と、付き合ってください。
翔:それで、例えば、仕事がやりにくいとか、
翔:やっぱり、仕事上のつきあいのほうが、
翔:その、適切だとか。そういうのあったら、
尚:そうね。
翔:元に戻ります。
尚:うん。
翔:元に戻れるかわかんないけど、
翔:俺、正直、自信ないけど。
尚:うん。それはその時考えよう。
翔:んで、1年経って、なお先輩にふさわしいヤツになれたら、
尚:なれたら?
翔:……その、なんていうか、
尚:なれたらね。今、言わなくていいわ。
尚:とっといて、その先は来年に。
翔:なお先輩……。
尚:そういうことでしょ?
翔:はい。
尚:なんかさー、あーーもう。
尚:これはこれで、調子狂うのよ?
尚:告白してきた相手に、告白指導するって何よ?
翔:いや、なお先輩っぽいっすよ。
尚:あのねぇ。
尚:そう言えば良いと思ってるでしょ?
翔:ん~、そういうのとはちがくて。
翔:あ、わかった。
尚:ん?なに?
翔:俺、なお先輩が好きなんですよ。
尚:知ってる。
翔:たぶん、どんな、なお先輩も、仕事モードも、困りモードも、ぜんぶ好きなんですよ。
尚:はいはい。
翔:ダメですか?
尚:ダメじゃないけど…
翔:ダメじゃないけどなんですか?
尚:だからぁ、……困らせるなぁもぉ。
翔:なお先輩、好きです。
尚:わかってる。
尚:よし、わかった、翔くん、
翔:は、はい。
尚:翔くん、きいて。
翔:は、はい。
尚:私も、あなたのことが好きでした。
翔:……え?
尚:……。
翔:……ま?
尚:もう言ったからね。
尚:私は一回しか言わないからね。
翔:……好きでしたって?いつから?
尚:2年前くらいから。
翔:え?
尚:残業してたり、慣れないのにがんばってたり、
尚:一生懸命勉強して準備してたり、
尚:眠れなくて大事な日に遅刻して来たり
尚:でも、翔くんは、後輩だから、
尚:私のこと好きになってくれることなんて、
尚:絶対ないと思ってたから。
尚:だから、あきらめてた。
尚:先週の木曜日の夜に、
尚:佐々木のおばちゃん家に
尚:ご飯食べに行って、相談して、
尚:飲んで泣いて、あきらめたの。
尚:金曜日会社休んで、
尚:土曜日も泣いて、
尚:日曜日も泣いて。
尚:頭痛くて月曜日も休んで。
翔:そうだったんですか。
尚:そうだったんです。
尚:なのに、なによこれ。
尚:はー、しんどい。
翔:そうだったんですね。
翔:俺、気づいてれば……。
尚:気づかせるもんですか!
尚:絶対バレないように生きてやるもん。
尚:あきらめたのになぁ。
尚:がんばってあきらめたのになぁ。
翔:嫌ですか?
尚:うれしいけど、
尚:やっと踏ん切りついたと思ったのに。(ため息)
翔:俺も、佐々木のおばちゃんに相談したんすよ。
翔:職場恋愛って、やっぱ、仕事に支障出ますか?って。
尚:いつ?
翔:2年前っす。
翔:「社内恋愛は大変よ」って言われて。
翔:だから、あきらめたんすよ。
翔:だけど、……橋本係長と藤本さん結婚するって聞いて……。
翔:マジでなんか、むかついたんすよ。
翔:だから、
翔:俺は、俺も、今は、仕事ちゃんとできるし!
翔:周りに迷惑かけない自信あるし!
翔:って思って。
尚:あれ?
翔:どうしたんすか?
尚:今日って、誰に言われた?
翔:高木課長に、買ってこいってお金渡されました。
尚:おかしくない?
翔:え?
尚:なんか言ってなかった?
翔:佐々木のおばちゃんが週末は時間とれないから、
翔:平日の外回り営業のときでもいいから、
翔:デパート寄って、どうにかしろって。
尚:いつ?
翔:昨日、金曜日の昼休み前っす。
尚:私も、佐々木のおばちゃんに、
尚:「来週末、時間とれなくなっちゃって
尚: 翔くんに頼まなくちゃいけなくなったのよぉ。
尚: 慣れてないから、きっと困ってるわよねぇ」
尚:って、昨日の16時くらい、おばちゃん帰る前に。
翔:あ。
尚:あ。
翔:あーーーーー!!!
尚:あーーーーー!!!
翔:これ、
尚:うん、
翔:どうあがいても、
尚:うん、
翔:会社にバレてますね。
尚:あきらめるか。
翔:そうっすね、
尚:佐々木のおばちゃんじゃ、
翔:かないませんもんね。
尚:よし、覚悟しよ。
翔:俺も、なんか言われるの覚悟しよ。
尚:あーーーー、
翔:どうしたんですか?
尚:(嬉しそうに)
尚:なんか、悔しいの!
翔:あははは、
翔:なお先輩、やっぱり、かわいいっす。


*** おわり ***



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